中学生ぐらいになると、パソコンやスマホを与えられている子供が多いですよね。そのため、特にスマホを手放せなくなっている子供は少なくありません。

でも、友達とLINEなどで連絡を取り合ったり、多少の会話をする程度であれば、さほど心配する必要はありません。

ただ、部屋に閉じこもって、スマホやパソコンを触っているのが当たり前になり、四六時中ネットを見ているようになると、親としても心配ですよね。

なぜなら、インターネット依存になってしまっていると、改善するのが大変そうで、大事な勉強なども手に付かなくなりますから…。

そこで、インターネット依存の治療法を知る前に、まず、お子さんがインターネット依存症であるのかを確認することが先決です。そのため、チェックシートを用意しましたので、まず、それでチェックしてみて下さい。

そのあと、治療に関する情報をご紹介しますので…。

インターネット依存症チェック

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このチェックは、厚生労働省が、全国の中高生を対象に行った「インターネット依存」に関する実態調査で採用されたものです。

あくまで、本人が回答するものですから、お子さんに質問してみて下さい。たった8個の設問ですから、夕食を食べてるときなどに聞いてみるのが良いのではないでしょうか。

ただ、お子さんが答えてくれなければ、この項目は飛ばして、次の項目から読み進めて下さい。

■ネット依存チェック

各設問は、当てはまる場合は1点、当てはまらない場合は0点として合計点を出します。

設問①
あなたは、インターネットに夢中になっていると感じますか?(例えば、前回にネットでしたことを考えたり、時間することを待ち望んでいたり、など)
設問②
満足を得るために、ネットを使う時間をだんだん長くしていかねばならないと感じていますか?
設問③
ネット使用を制限したり、時間を減らしたり、完全にやめようとしたが、うまくいかなかったことが、たびたびありましたか?
設問④
ネットの使用時間を短くしたり、完全にやめようとしたとき、落ち着かなかったり、不機嫌や落ち込み、またはイライラなどを感じますか?
設問⑤
使い始めに意図したよりも長い時間オンラインの状態でいますか?
設問⑥
ネットのために大切な人間関係、学校のことや、部活動のことを台無しにしたり、危うくするようなことがありましたか?
設問⑦
ネットへの熱中のしすぎを隠すために、家族、学校の先生やその他の人たちにウソをついたことがありましたか?
設問⑧
問題から逃げるために、または、絶望的な気持ち、罪悪感、不安、落ち込みなどといった嫌な気持ちから逃げるために、ネットを使いますか?

【評価】
・適応的使用:0~2点
・不適応使用:3~4点
・5点以上:病的使用

いかかでしたでしょうか?5点以上であれば、インターネット依存症である可能性がかなり高いと言えます。その場合、お子さん一人で「依存」を改善させるのは難しいでしょう。

そのため、現在ではインターネット依存症を治療する専門医がいますので、そのような専門医がいる病院を受診することをお勧めします。

ただ、治療法を紹介する前に、インターネット依存によって、どのような弊害があるのかを、先に知っておいて下さい。それを知ることで、治療の必要性もお分かり頂けるかと思いますので…。

という訳で、次の項目では、専門家の見解とインターネット依存による弊害をご紹介致します。

ネット依存による弊害

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治療法の説明をする前に、現在の日本におけるインターネット依存症の現状を少し紹介しておきます。

というのも、ネットで検索すれば、様々な情報が出てきます。そのため、必要な情報を取捨選択できず、結局どうすれば良いのか分からなくなる人が多いからです。

ここで質問です。日本の専門家たちは、インターネット依存症に対して、どのように考えていると思われますか?

いきなり、こんな質問をされても分からないですよね。

実は、日本ではインターネット依存症に関する見解は、専門家の間でも意見が分かれているんです。

例えば、インターネット依存は、放っておくと、どんどんヒドくなり「引きこもり」になってしまうという意見があります。しかし、一方では、思春期に起こる一過性のモノで、しばらくすれば、自然にネットから離れるようになるという意見もあります。

専門家でさえ意見が違うのですから、どのように考えれば良いのか分からなくなりますよね。でも、この相反する意見は、どちらも正しいと言えるように思います。

何故なら、どちらの事例もあるからです。ただ、パソコンやスマホを見続けることによる弊害があるのも事実です。

■ インターネット依存症による弊害

①身体面
視力低下・体力低下・腰痛・エコノミークラス症候群・肥満・骨密度低下など
②精神面
昼夜逆転・睡眠障害・意欲低下・引きこもり・うつ状態・自殺願望など
③学業面
成績低下・遅刻・欠席・授業中の居眠り・留年・退学など
④経済面
浪費・多額の借金など
⑤対人関係
暴言・家庭内暴力・家族関係の悪化・友人関係の悪化など

専門家の意見は分かれてはいますけど、上記のような弊害があるのも事実ですから、出来るだけ早く、インターネット依存症を改善した方がいいですよね。

どのような依存症でも、依存度が高いほど、本人の意志だけで依存を改善するのは難しいものです。そのため、上記の「ネット依存チェック」が5点以上で、親御さんが注意をしても、全く効果がないようであれば、専門医がいる病院を受診した方が良いでしょう。

ただ、どのような治療がなされるのか、知っておきたいと思いますので、改善効果が出ている治療法を次の項目でご紹介させて頂きます。

効果が出ている治療法


現在、日本ではインターネット依存症の診断基準は確立されていません。そのため、病院によって多少なりとも治療法に違いはあります。

ただ、今回紹介させて頂く治療法は、いくつかある治療法の中で、主に採用されているものを集めました。どれかひとつの方法で良いという訳ではなく、それぞれを組み合わせることが効果が出やすくなります。

記録法

記録法とは、簡単に言えば日記です。毎日、何時に何をしたのか記録していくだけです。基本的には、「起床時間」「食事をした時間」「入浴時間」「インターネットを始めた時間」「インターネットから離れた時間」「就寝時間」などです。

画像は、簡単な例なので、詳しくは書かれていませんが、インターネットに関しては、サイト名やゲーム名なども記入して、そのときの感想も書き加えておきます。なお、インターネット以外のことも、思ったことなどがあれば書いておきます

そして、その日記を医師に見せてカウンセリングが行われます。本人が日記を客観的に見ることで、インターネットに費やしている時間の多さや体調などが自覚できます。すると、本人も改善しなければいけないという気持ちになり、治療へのモチベーションが上がります。そして、次の目標を設定します。

認知行動療法

認知行動療法は、精神疾患(うつ病・不眠症・統合失調症など)で効果があり、精神医療ではよく使われているものです。

認知行動療法は、まず本人の性格やこれまでの生い立ちなどを理解して、「悩み」「問題点」「強み」「長所」「短所」などを洗い出して治療方針を立てていきます。それを本人と共有してカウンセリングを行っていきます。

そして、「日常的に行う事」「優先敵に行う必要がある事」「楽しめる事」「やりがいのある事」に優先順位を付けていきます。それらを明確にすることによって、インターネットから離れて、他のことに目を向けるように誘導していきます

あと、本人がとらわれている「自動思考」を検証して、認知のかたよりを修正していきます。「自動思考」とは、瞬間的に頭に浮かぶ考えのことです。

例えば、「パソコンをやめなさい」と言われたとき、「パソコンをやめるとゲームが出来なくなる。それに、ネット上の友達と疎遠になってしまう。だから、パソコンが無い生活なんて考えられない」などと、瞬間的に思うことを自動思考といいます。

自動思考をあぶり出したら、そのような自動思考が正しいものなのかを本人と一緒に考えていきます。そして、数年後の自分や、半年後の自分の姿を想像させると、今から取り組む課題が明確になってきます。

ただ、ほとんどの患者は、すぐには改善しません。何度も繰り返すことによって、少しずつ認知のゆがみが矯正されて、しだいに行動が変わっていきます。

他には、数人の患者でディスカッションをすることもあります。そのディスカッションでは、ネットの良い点と悪い点について話し合います。最初は、良い点ばかりが出て、悪い点がなかなか出てきません。

それは、最初のうちは、ネットを悪いものだと思っていないですし、ネットの悪い点を思いついても、それを認めたくないという気持ちが働くためです。しかし、それでも続けていくと、ネットの良い点はバーチャルの世界で起きていることばかりで、悪い点は現実世界の中で起きていることに気付き始めます。

という訳で、患者同士のディスカッションは、同じ立場の人間同士ですから、ディスカッション仲間の話は受け入れやすいのです。その結果、認知の修正を図りやすくなりますので、ディスカッションは非常に有効な手段と言えます。

作業療法

作業療法といっても、難しいことをする訳ではありません。音楽を聞いたり、スポーツをしたり、工作をしたり、普通の会話をしたり、そういう行動が作業であり、インターネット依存症のリハビリにつながるのです。

例えば、運動をすると、かなり体力が落ちていることに気付きます。そのため、卓球などをしても、すぐに息が切れてしまいます。それを実感すると、ほとんどの患者は「ここまで体力が落ちていたのか」と危機感を持ちます。

それでも、遊び感覚で卓球を続けていると、次第に楽しくなってきて、運動不足解消にもなりますし、インターネット以外に楽しみを見付けることにもつながります。

あと、インターネット上で誰かと会話をしても、それは文字だけのやり取りですから、相手の表情を見て、相手の気持ちを察するということはありません。そのため、インターネットにハマっていると、体力だけが落ちる訳ではなく、コミュニケーション能力も確実に落ちていきます。

しかし、作業療法で人と触れあうことによって、落ちていたコミュニケーション能力を取り戻すことができます。最初は、作業療法に気が乗らないかも知れません。ただ、そのような時間を積み重ねていくことで、以前の感覚がよみがえってきて、それが自信につながっていきます。

従いまして、家族で一緒にご飯を食べたりするのも、作業療法のひとつと言えます。

ソーシャルスキルトレーニング

作業療法でコミュニケーション能力を取り戻せる患者もいますけど、インターネット依存になる人は、もとも対人関係が苦手という人が少なくありません。

そのため、作業療法だけではコミュニケーション力がアップしないことがあります。そのため、会話をするトレーニングをします。

特別な話をするのではなく、他の患者の前で、自己紹介などをするだけです。

そして、それが終われば、自己採点します。最初のうちは、ほとんどの患者が自己採点は低いものです。しかし、トレーニングを繰り返すことによって、自己採点が少しずつ高くなっていきます。それが自信となり、ステップアップしていけるようになります。

インターネット依存症を治療する目的は、インターネットから離れることだけでなく、子供たちが学校や社会に戻ったとき、普通に生き生きと生活できるようになるためでもあります。

そのために、コミュニケーション能力を高めることは、非常に重要なこととなります。

入院治療

中学生や高校生のインターネット依存症では、薬物治療をしたり、入院することは非常に稀です。しかし、下記のような場合は別です。

■ 入院が必要な場合

・栄養障害。
・通院での改善が望めない。
・部屋に引きこもり外に出ない。
・家族がお手上げ状態。
・合併する精神障害の治療が必要。

要するに、本人の健康状態が心配される場合や、暴力などがヒドく、家族だけでは対処できない場合、入院が必要と判断される場合があります。

入院時は、当然パソコンやスマホの持ち込みは禁止です。そのため、インターネットから離れる生活を余儀なくされます。

そして、最初は昼夜逆転している生活を正常に戻して、落ち着いてきたら、認知行動療法や作業療法などを取り入れていきます。

入院すると、規則正しい生活をせざるを得なくなります。そのような普通の生活が、インターネット依存症の患者にとっては、非常に効果的な治療となるのです。

まとめ


治療が終わって改善しても、再発が心配ですよね。でも、パソコンやスマホを触る時間ばかり気にするのではなく、パソコンやスマホを触っても、節度をもってやっていれば回復していると判断して大丈夫です。ただ、治療が終わったばかりでは、本人も「またやってしまうのでは…」という不安は常に持っているものです。

そのため、家族は「信用しているからね」というメッセージを発信し、家の手伝いをさせるなどして、出来るだけパソコンやスマホから離す工夫をしてあげることも重要なことです。そして、改善が見えたときは、しっかり褒めてあげることも大切です。要するに、子供が自信を持つことが出来るように、家族が支えてあげることが、何より大切なことだということです。

ちなみに、インターネット依存症を専門にしてい医療機関は、非常に少ないです。

そのため、インターネット依存症の専門医が近くにいなければ、「精神科」「心療内科」「メンタルクリニック」「依存症専門の医療施設」「保健所」「児童相談所」「精神保健福祉センター」などに相談してみて下さい。

専門医でない場合は、有効とは思えないアドバイスをされることもあり得るのですが、いくつかあたってみて、信頼できそうな機関を探して下さい。

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