ADHDの子供は、周囲から理解されずに生活を続けていたり、適切なサポートを受けることが出来ていなければ、ADHDの二次的な障害として、攻撃的になったり、反社会的な行動をするようになることがあります。

ただ、誰でも腹が立てば怒りますし、ルール違反をしてしまうことだって、誰にでもありますよね。そのため、子供の行動が、ADHDが原因なのかを知ることは大切なことです。

それで、こちらでは、ADHDの二次障害の診断基準などをご紹介していますので、参考にして頂ければ幸いです。

反抗挑戦性障害の診断基準

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ADHDは、LD(学習障害)やPDD(広汎性発達障害)など、合併しやすい障害があります。ただ、それとは別に、二次的に起こりやすい障害もあるのです。

そのひとつに、反抗挑戦性障害があります。反抗挑戦性障害は、ADHDの半数近くが合併するとされています。

■ 反抗挑戦性障害とは

反抗挑戦性障害は、かんしゃくを起こしやすいのが分かりやすい特徴です。ただ、それだけではなく、親や先生の指示を無視や拒否をして、反抗的な態度をとります。あと、大人が苛立つようなことをわざとしたり、挑発的な行動をとることもあります。

反抗挑戦性障害は、ADHDの多動性や衝動性が顕著な子供に起こりやすいとされています。ちなみに、LD(学習障害)やPDD(広汎性発達障害)のような合併障害は、生まれつき持ち合わせた特性のため、予防することは出来ません。

でも、反抗挑戦性障害は、まわりにいる人達の接し方次第で、合併のリスクを軽減させることが出来るのものなのです。そのため、反抗挑戦性障害が出ない子供もいる訳です。

そこで、反抗挑戦性障害であるかを判断する基準がありますので、確認して見てください。

■ 反抗挑戦性障害の診断基準

  • しばしばかんしゃくを起こす。
  • しばしば大人と口論する。
  • しばしば大人の要求または規則に従う事を積極的に反抗したり拒否する。
  • しばしば故意に他人を苛立たせる。
  • しばしば自分の失敗、無作法な振る舞いを他人のせいにする。
  • しばしば神経過敏または他人からイライラさせられやすい。
  • しばしば怒り腹を立てる。
  • しばしば意地悪で執念深い。

(アメリカ精神医学界[DSM-Ⅳ 精神疾患の分類と診断の手引き]より抜粋)

上記の設問で、4つ以上が少なくとも6ヶ月は持続している場合、反抗挑戦性障害の可能性が高いといえます。

反抗挑戦性障害がヒドくなると、行為障害と呼ばれる障害に至る場合があります。次の項目では、その行為障害について解説していますので、ご覧下さい。

行為障害の診断基準

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反抗挑戦性障害の症状はさらに高じると、行為障害に至ることもあります。海外で行われた調査によると、学童期のADHDの2~4割、思春期のADHDの4~5割に、行為障害がみられるというデータがあります。

海外と日本とでは、社会構造に違いがありますから、海外のデータをそのまま日本の現状に当てはめることは出来ないかとは思います。ただ、それを踏まえて考えてみても、日本も大差はないようにも思われるのですが…。

■ 行為障害とは

行為障害とは、特に大人に対して反抗する気持ちが強くなり、それが高じて、破壊行為や反社会的な行動を日常的に行う障害です。

なお、下記の設問で、3つ以上が過去12ヶ月の間に存在し、少なくとも1つは過去6ヶ月の間に存在している場合、行為障害である可能性が高いといえます。

■ 行為障害の診断基準

    【人や動物に対する攻撃性】

  • しばしば他人をいじめ、脅迫し威嚇する。
  • しばしば取っ組み合いのケンカを始める。
  • 他人に重大な身体的危害を与えるような武器を使用したことがある。
  • 人に対して、身体的に残酷であったことがある。
  • 動物に対して、身体的に残酷であったことがある。
  • 被害者に面と向かって行う盗みをしたことがある。(ひったくりなど)
  • 性行為を強制したことがある。
  • 【所有物の破壊】

  • 重大な損害を与えるために、故意に放火したことがある。
  • 放火以外で、故意に他人の所有物を破壊したことがある。
  • 【ウソをつくことや窃盗】

  • 他人の住居、建造物または車に侵入したことがある。
  • 物や行為を得たり、または義務を逃れるために、しばしばウソをつく。
  • 被害者と面と向かうことなく、多少価値のある物品を盗んだことがある。(例えば、万引き。ただし、破壊や侵入のないもの。偽造)
  • 【重大な規則違反】

  • 13歳未満で始まり、親の禁止にもかかわらず、しばしば夜遅く外出する。
  • 親または親代わりの人の家に住み、一晩中、家を空けたことが少なくとも2回ある。(または、長期に渡って家に帰らないことが1回ある。)
  • 13未満から始まり、しばしば学校を怠ける。

(アメリカ精神医学界[DSM-Ⅳ 精神疾患の分類と診断の手引き]より抜粋)

反抗挑戦性障害から行為障害に以降してしまうのは、その子供自身に原因があるのではなく、大人社会に受け入れてもらえなかったために、反発心や反抗心が積み重なって、そのような状態に至ってしまうのではないでしょうか。

私の知り合いのADHDの女性は、子供の頃「おまえは、何を言ってるのか分からないから、あっちに行ってろ」と親に言われたことがあるそうです。そこまでヒドイことを言わないとしても、ADHDの特性を理解しない大人たちは、それに近いことを無意識でしてしまうことがあるのではないでしょうか。

そのような扱いを受け続けていれば、ADHDでなくても、子供は人格を否定されたような気持ちになって、素直に育たなくても不思議ではないですよね。ちなみに、ADHDの子供は、自分の人格を大切にすることが出来ない環境にいると、反抗挑戦性障害などに移行しやすくなるそうです。

そのような事態になることを防ぐには、まわりの大人たちがADHDを理解し、子供の障害を受け入れて、適切なサポートしてあげることが大切ではないかと思います。そうすることで、子供は自尊心を育むことができるはずで、二次障害への移行リスクも軽減させることが出来るように思います。

次は、「ADHDかも知れない」と思ったときのことについて、情報を紹介させて頂きますので、引き続きご覧下さい。

ADHDかも?と思った場合について


小学生や中学生の子供が、自分で「ADHDかも?」と思うことは、まずありません。子供がADHDかも知れないと気付くのは、「身内」「学校の先生」「検診」の3パターンです。ただ、いずれの場合も、正しい診断をするためには、小児神経科や児童精神科などの専門医に診てもらう必要があります。

しかし、家庭や学校で、特に目立った不適応がなく、日常生活においても支障がなければ、受診する必要はないと思います。

なぜなら、ADHDには幅がありますので、強い症状が出ている子供もいれば、非常に軽い傾向が見られるだけという場合もあるからです。ADHDは、確かに脳の病気ではあるのですが、病院に通ったからといって、現代の医学では、ADHDそのものを治すことは出来ません。

そのため、日常生活に支障がなく、子供が周囲から許容される環境にあるのであれば、医師に診てもらっても「このまま親御さんたちが、しっかりサポートしてあげて下さい」と言われるだけです。

ちなみに、上記でADHDだと気付くのは、「身内」「学校の先生」「検診」だと紹介しましたが、最近多くなってきているのは、先生が気付くパターンです。

親にしてみれば、子供は落ち着きがないものだし、忘れっぽいものだと思って、病気の可能性を疑わない場合が少なくありません。

しかし、先生は、数え切れないぐらいの子供たちを見てきていますから、他の子供との違いがハッキリ分かります。そのため、先生から他の子供との違いを指摘された場合は、親御さんが実際に学校へ行き、自分の目で確かめることも大切なことです。

そして、必要だと感じれば、医療機関を受診するなどの対応を検討する必要があります。なお、受診すべきか判断できない場合は受診すべきです。もし、ADHDでなければ、これまで通りに対応すれば良い訳ですし、ADHDと診断されたのであれば、その特性を理解した対応が必要になりますから…。

なお、ADHDが疑われるサインは、年齢によって違いがあります。

■ 成長段階別のADHDのサイン

【乳児期(0~1歳)】
・コリック(夕方頃に泣き続けること)
・夜泣きが多い
・かんしゃくが強い
・ひきつけが多い

【幼児期(2~6歳)】
・落ち着きのなさが目立つ
・親や先生の言うことを聞かない
・友達との衝突が増える
・ケガや事故が増える

【学童期(7~12歳)】
・授業中、着席していられない
・忘れ物が多い
・先生の指示などが伝わりにくい
・課題などが最後までやりとげられない

最後に


上記でも触れましたが、ADHDそのものを治すことは出来ないですし、LD(学習障害)やPDD(広汎性発達障害)のような合併障害も、生まれつきのものですから、治すことも予防することも出来ません。

しかし、反抗挑戦性障害や行為障害は、周囲の接し方しだいで、合併のリスクを大きく引き下げることが出来ます。そのため、子供の現状を受け入れて、専門医のアドバイスを理解し、適切な接し方をしてくことが非常に大切です。

いずれにしましても、子供も親も根気が必要になりますが、反抗挑戦性障害や行為障害へと移行させないように、親がADHDについて勉強することも大事ですね。

という訳で、周囲の大人たちが、どれだけサポートしてあげられるか次第で、子供の成長に大きく影響が出ます。ただ、ADHDの子供を持つ親だけでなく、もっとADHDのことが理解される世の中にしないといけないですね。

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