どうもどうも!ユウポンです。
ふぐって美味しいですよね。先日、何年かぶりに食べました。私は、お金を出してないですけど…(^^;
それより、ふぐ料理は、フグ調理師免許を持っている人が調理をしますよね。
だから、専門家が調理をするのですから、ふぐの毒で死ぬことは無いと思って食べてる訳ですけど、実際には、ふぐの毒で死ぬ人って毎年いるそうですね。
それで、ふぐの毒のことが気になって色々と調べてみました。
すると、ふぐの毒の強さは、部位によって全く異なることが分かりました。あと、ふぐの種類によっても、毒のある場所に違いがあることが分かりました。
その違いを一覧表にしましたので、どうぞご覧下さい。
※今回の記事中の情報は、下記の文献を参考にしています。
【参考文献】
①フグはフグ毒をつくらない 著:野口玉雄(成山堂書店)
②フグはなぜ毒で死なないか 著:吉葉繁雄(講談社)
③新 ふぐ調理師必携 著:海沼勝(柴田書店)
フグの毒は部位によって強さが違うの?
専門書で調べてみると、ふぐの毒は、部位によって強さが全く異なっていることが分かりました。しかも、同じ部位でも、種類によって毒の強さが違っていました。
当然、毒のない部位もありますけどね。その毒のない部位を、私たちは美味しく頂いている訳ですけど…。
いずれにしましても、それらの違いを一覧表にしましたので、ご覧ください。
①●:猛毒(1,000Mu/g以上)
②◎:強毒(100~1,000MU/g未満)
③○:弱毒(10~100未満)
④×:無毒(10MU/g未満)
⑤ー:測定データなし
■ふぐの部位別の毒の強さ
科 | 棲息域 | 種 | 部位別の毒力 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
卵巣 | 精巣 | 肝臓 | 皮 | 腸 | 筋肉 | |||
フグ科 | 日本近海 | |||||||
クサフグ | ● | ○ | ● | ◎ | ● | ○ | ||
コモンフグ | ● | ◎ | ● | ◎ | ◎ | ○ | ||
ヒガンフグ | ● | ○ | ● | ◎ | ◎ | × | ||
ショウサイフグ | ● | × | ● | ◎ | ◎ | ○ | ||
マフグ | ● | × | ● | ◎ | ◎ | × | ||
カラス | ● | ー | ● | ー | ー | ー | ||
メフグ | ● | × | ◎ | ◎ | ◎ | × | ||
ムシフグ | ● | × | ◎ | ◎ | ー | × | ||
ナメラダマシ | ● | × | ○ | ○ | ○ | × | ||
アカメフグ | ◎ | × | ◎ | ◎ | ○ | × | ||
ナシフグ | ◎ | × | ◎ | ◎ | ○ | × | ||
トラフグ | ◎ | × | ◎ | × | ○ | × | ||
シマフグ | ◎ | × | ◎ | × | ○ | × | ||
ゴマフグ | ◎ | × | ◎ | ○ | × | × | ||
シロアミフグ | ● | ー | ○ | ○ | ◎ | ○ | ||
センニンフグ | ● | ー | ○ | ○ | ◎ | ○ | ||
オキナワフグ | ◎ | ◎ | ◎ | ● | ー | ◎ | ||
ホシフグ | ◎ | × | × | ○ | × | × | ||
キタマクラ | × | ー | ○ | ◎ | ○ | × | ||
ドクサバフグ | × | × | × | ◎ | × | ● | ||
カナフグ | × | × | ◎ | × | × | × | ||
シロサバフグ | × | × | × | × | × | × | ||
クロサバフグ | × | × | × | × | × | × | ||
ヨリトフグ | × | × | × | × | × | × | ||
中国近海 | サンサイフグ | ● | ◎ | ● | ◎ | ◎ | ○ | |
タイ汽水域 | ミドリフグ | ー | ー | × | ◎ | ○ | ○ | |
ハチノジフグ | ー | ー | × | ◎ | × | × | ||
ハリセンボン科 | 日本近海 | ハリセンボン | × | ー | × | × | × | × |
イシガキフグ | × | ー | × | × | × | × | ||
ハコフグ科 | ハコフグ | × | × | × | × | × | × | |
ウミスズメ | × | × | × | × | × | × | ||
イトマキフグ | × | × | × | × | × | × |
上記の一覧表を見ると、ふぐの種類によって、毒のある部位が全く異なっていますね。
例えば、クサフグの卵巣には猛毒がありますけど、ドクサバフグの卵巣は無毒です。ですから、フグの調理人は、フグの種類によって、どの部位に毒があるのか覚えておかないといけないということですね。
ただ、上記の一覧表での無毒の基準は、毒の量が10MU/g未満の場合ですから、無毒といっても、全く毒がない訳ではないですョ。
いずれにしましても、フグは種類によって、毒のある場所が違うのですから、新種のフグが見つかった場合、どの部位に毒があるのか分からないですよね。となると、新発見されたフグは、研究結果が出るまでは、食べることは出来ないってことですね。
私は、ふぐのことを調べるまでは、ふぐは必ず毒を持っていると思い込んでいました。でも、ハコフグのように、無毒とされているフグもいるんですね。
ということは、ハコフグはに関しては、何も気にせず食べても良いのでしょうか?
実は、そうではないようです。その辺りのことは、次の章で説明させて頂きますね。
ハコフグの調理は、フグ調理師免許が不要なの?
ハコフグは、上記の一覧表を見ると「無毒」となっていますよね。
でも、ハコフグはストレスが掛かると、表皮からパフトキシン(神経毒)と呼ばれる毒を分泌します。要するに、危険を感じると、外敵から身を守るために毒を出すということです。
だから、食品衛生法によって、ハコフグの皮の販売は禁止されています。
ちなみに、ハコフグの表皮からは、そのような毒が出るので、水槽で他の魚と一緒に飼育すると、他の魚が死んでしまうそうです。
ただ、ハコフグは、内臓には毒を持っていないので、以前は、フグ調理師免許がなくても調理をして良かったそうです。
でも、ハコフグの肝臓から、パリトキシンという猛毒が発見されたんです。
ハコフグは、本来パリトキシンを持っていないのですが、エサを食べたときに、パリトキシンを摂り込んでしまい、肝臓に蓄積するらしいです。
ですから、全てのハコフグがパリトキシンを持っている訳ではありません。
でも、肝臓にパリトキシンを持っていたハコフグを食べた人がいて、食中毒を起こしてしまったんです。それで、ハコフグも調理師免許が必要な魚に指定されました。
なお、上記の一覧表では、ウミスズメも「無毒」になっています。でも、ウミスズメを食べた人の死亡例は報告されているようです。
という訳で、ハコフグもウミスズメも、本来はパリトキシンを持っていないのですが、エサと一緒に肝臓に摂り込んでしまうので、絶対に肝臓を食べてはいけないということです。
ただ、ハコフグを食べてはいけないということではないですョ。
ハコフグは、調理師免許を持った人が調理すれば食べられます。長崎県の五島列島では、ハコフグの味噌焼きを「かっとっぽ」と呼んで、郷土料理として名物になっているぐらいですからね。
いずれにしましても、上記の一覧表で無毒となっているフグであっても、無条件で食べられるという訳ではないようですね。
だから、ハコフグを釣っても、自分で調理することはやめておくべきかと…。
でも、昔の人は、フグは美味しいですから、危険だと分かっていても内臓まで食べていました。そのせいで、1959年以降の統計では、食中毒による死者数は、ふぐによるものが第1位だったそうです。
そして、現在では、食べても良い種類が指定されるようになったのですが、同じフグでも、産地によって食用が認められていたり、不可とされたりしているんです。
次の章では、その辺りのことについて説明させて頂きますね。
県によって食用不可の基準が違うのは何故?
ナシフグに限っては、以下の地域産に限って、筋肉部位と白子の販売が許可されています。
- 長崎県と熊本県の有明海・橘湾産
- 香川県と岡山県の瀬戸内海域産
上記の地域のナシフグだけ販売が許可されている理由は、無毒か毒性が非常に弱いからです。
一方、逆の場合もあります。岩手県の越喜来湾と釜石湾、および宮城県の雄勝湾で漁獲される「コモンフグ」と「ヒガンフグ」の筋肉は、非常に毒性が強いので、食用として許可されていません。
ただ、消費者は産地が分からないので、こればかりは料理店を信用するしかないのですが…。
昔は、ふぐの脂がのった美味な肝臓を食べる人が多かったので、死亡例が相次いでいました。
そのため、1983年に厚生省(現在の厚生労働省)から、「フグの衛生確保について」という通達が、各都道府県知事に出されたそうです。それで、食べても良い「ふぐ」が明文化された訳です。
それで、大分県の名物だった「トラフグ」の肝料理が姿を消すことになりました。その後、再び出された通達によって、1993年に「ナシフグ」が食用不可に指定されました。
でも、1995年になると、条件付きではありますけど、ナシフグの筋肉部位の販売が許可されたんです。しかも、2000年には、ナシフグの白子も条件付きで販売が許可されました。
その条件とは、上述した産地の件です。
ただ、ふぐの毒性は、個体差が大きいそうです。下関の市場で入手したトラフグの肝を調査した報告書では、無毒・弱毒・強毒の割合が3分の1ずつだったらしいです。
ですから、トラフグの肝を食べても、必ず中毒になる訳ではないということですね。
でも、少なくとも3分の1の確率で、強毒に当たってしまう可能性がありますから、法令で「いかなる種のフグの肝臓を提供してはならない」となっている訳ですけどね。
ところで、ふぐの毒って、他の毒と比べて、どれぐらいの強さなのでしょうね。その辺りのことは、次の章で説明させて頂きますね。
ふぐの毒は、他の毒より強いの?
色んな書籍で毒性について調べていると、毒の強さを表す基準がありました。それは、LD50と呼ばれる毒性の表し方です。
そのLD50とは、特に注意書きがなければ、体重1キロあたりの仮想マウスに毒を投与したとき、その半数が死亡すると推定される毒量を示すモノです。
という訳で、LD50に基づいて、ふぐの毒性が他の毒と比べて、どれぐらいの強さなのかを以下に表しましたのでご覧下さい。
ちなみに、フグの毒は強さには幅がありますけど、以下の数値は、フグの強い方の毒の場合です。
- 第1位:ボツリヌス毒A(ボツリヌス菌)…0.0000011~0.001
- 第2位:テタノスパスミン(破傷風菌)…0.000002
- 第3位:マイトトキシン(シガラテ毒の一種)…0.00017
- 第4位:パリトキシン(スナギンチャク類)…0.00025
- 第5位:シガトキシン1B(シガテラ毒の一種)…0.00045
- 第6位:バトラコトキシン(モウドクフキヤカエルの毒)…0.002~0.007
- 第7位:サキシトキシン(麻痺性貝毒の一種)…0.02~0.008
- 第8位:テトロドトキシン(ふぐ毒)…0.01
- 第9位:ストリキニーネ(植物毒)…0.5~5
- 第10位:シアン化カリウム(青酸カリ)…5~10
上記のランキングの順位で見ると、ふぐの毒は下位になってますけど、青酸カリより強いんですから、相当な毒性ですよね。
これだけ強い毒性なら、ふぐ毒で死ぬ人が毎年出るのもうなずけますよね。だから、本当に注意しないといけないので、信頼できるお店で食べるようにしないといけないですね。
間違っても、内緒で肝を食べさせてもらったりしたら、後でどうなるか分からないですョ。メチャクチャ美味しいョ…なんて言われたら、食べたくなってしまうでしょうけどね。
といっても、ふぐの食用が全面禁止されている訳ではありません。法令で、食用にして良いとされている種類もありますので、次の章でカンタンにご紹介させて頂きますね。
食べられるふぐはコレだけです
日本の法令では、食用にして良いと定められているフグの種類は22種類です。
ただ、頭の先からシッポまで、全てを食べて良いという訳ではないですョ。法令では、食べても良い部位と、そうでない部位は、種類ごとに明確に定められています。
そこで、食べても良い部位を、以下にまとめましたのでご覧下さい。
- クサフグ:筋肉
- コモンフグ:筋肉
- ヒガンフグ:筋肉
- ショウサイフグ:筋肉・精巣
- マフグ:筋肉・精巣
- メフグ:筋肉・精巣
- アカメフグ:筋肉・精巣
- トラフグ:筋肉・皮・精巣
- カラスフグ:筋肉・皮・精巣
- シマフグ:筋肉・皮・精巣
- ゴマフグ:筋肉・精巣
- カナフグ:筋肉・皮・精巣
- シロサバフグ:筋肉・皮・精巣
- クロサバフグ:筋肉・皮・精巣
- ヨリトフグ:筋肉・皮・精巣
- サンサイフグ:筋肉
- イシガキフグ:筋肉・皮・精巣
- ハリセンボン:筋肉・皮・精巣
- ヒトヅラハリセンボン:筋肉・皮・精巣
- ネズミフグ:筋肉・皮・精巣
- ハコフグ:筋肉・精巣
- ナシフグ:筋肉・精巣
食用として認められている22種類のふぐは、いずれも筋肉は食べても良いとなっていますね。要するに、いずれのフグも、身の部分は毒がないということです。
ですから、ふぐの中で、味覚の王様とされているトラフグも、筋肉・皮・精巣は無毒なので、食べても良いことになっています。
ただ、トラフグの卵巣や肝臓には、強い毒がありますから、間違っても食べてはいけません。
ちなみに、たとえ無毒種とされている種類であっても、卵巣と肝臓を食用にすることは、法令で禁じられています。だから、トラフグだからダメってことじゃないですけどね。
最後に
いかがでしたでしょうか。ふぐは、種類によって毒のある部位が違っていて、日本では22種類が食用として認められているということです。
でも、養殖ふぐは、無毒にできる技術があるそうなので、いずれ養殖ふぐに限っては、食用が認められる種類が増えるかも知れないですね。
現在の法令は、天然ふぐを対象にした法令なのに、養殖ふぐにも、そのまま適用されていますからね。
いずれにしましても、フグは美味しいですから、もっと手軽に食べられるようになって欲しいですよね。