どうもどうも!ユウポンです。
私は、会社で平社員~役員までやっていましたので、色んな人を見てきました。ただ、敬語をしっかり理解してる人なんて、そんなにいないなぁ~というのが実感です。私も他人のことを言えた義理じゃないですけどね(^^;
ただ、日本で生活をしている限り、敬語のルールを知らずにいると、恥をかいたり、相手の気分を害したりしてしまいますから、敬語はしっかり覚えておく必要があります。
でも、全てを覚えるなんてことは難しいですよね。そこで、私がマナー教室で習ったことや書籍などを参考にして、仕事上で使う敬語の中で、これさえ押さえておけば大丈夫というモノを一通りご紹介しますね。
※今回の記事中の情報は、下記の文献を参考にしています。
【参考文献】
①日本語のルール 著:白沢節子(日本実業出版社)
②大人の語彙力が使える順できちんと身につく本 著:吉田裕子(かんき出版)
③さすが!と言われる ビジネスマナー 完全版 著:高橋書店編集部(高橋書店)
敬語の基本的なルール
学生時代に流行語や俗語を頻繁に使っていた人は、その癖が抜けきらない場合があります。そのような人は、敬語の使い分けが難しく感じるかも知れないですね。でも、これは理屈ではなく、社会人としての一般常識ですから、そういうものだと思って慣れていくしかありません。
今回ご紹介する敬語は、社会に出て生きていれば、必ずといって良いほど出くわすモノばかりです。ですから、社会人として、最低限必要なことだと思って覚えて下さいね。
- 自分を指す場合 ⇒ わたくし・当方・小生
- 自社を指す場合 ⇒ 当社・弊社・小社・わたくしども
- 誰なのかを聞く場合 ⇒ どなた様・どちら様
- 自分が訪問した場合 ⇒ お伺いした
- 自分が話す場合 ⇒ 申し上げます
- 相手の会社 ⇒ 御社(銀行の場合は、御行)
- 相手の考え ⇒ ご意向
- 相手の奥さん ⇒ 奥様
- 相手の自宅 ⇒ お住まい・ご自宅
- あの人 ⇒ あちら様・あの方
- すみません ⇒ 申し訳ございません
- できません ⇒ 致しかねます
- 知りません ⇒ 存じません
- どうしますか ⇒ いかがなさいますか
- 分かりました ⇒ かしこまりました(承知致しました)
- すみませんが ⇒ 恐れ入りますが
繰り返しになりますけど、上記の「敬語の基本ルール」は、本当に最低限知っておかなければならない敬語です。ただ、会社によっては、敬語の使い方のルールを決めている場合がありますので、その場合は会社のルールに従って下さいね。
例えば、自社のことを「弊社(へいしゃ)」と言いますけど、電話では相手が聞き取りにくい場合がありますので、電話で話す場合に限って、「弊社」は使わず「当社」と言うように統一している会社もあります。
それでは、次の章からは、もう少し具体的に敬語の使い方をご紹介しますね。
「わたし」と「わたくし」どちらを使うべき?
自分のことを指す場合、「俺」「僕」「わたし」「わたくし」などがありますよね。ただ、さすがに「俺」はどうかと思うのですが、非常に仲が良い同僚や部下と話す場合に限って、「俺」という言葉を使っても許される雰囲気であれば、とりあえず大丈夫かとは思います。
でも、社内では、「わたくし」を使わないまでも、「わたし」というのが一般的だということは知っておきましょう。ちなみに、「僕」という言葉は、絶対にダメとはされてません。でも、子供っぽいイメージがありますから、出来れば避けた方が良いでしょうね。
なお、社外の人に対しては、「わたくし」を使うようにして下さい。
慣れないうちは、照れくささもあって、「わたくし」と言い出しにくいかも知れないですね。私も、最初は「わたくし」という言い方に慣れなかったのですが、言い続けていれば、違和感なく自然に口から出るようになりましたョ。
「チョット」と言ってはダメ?
電話を取り次ぐ場合に、「チョットお待ち下さい」もしくは「少しお待ち下さい」と言う人がいますよね。「チョット」も「少し」も口語的な表現ですから、くだけた感じになってしまいます。
そのため、「少々お待ち下さい」が正解です。ただ、「チョット」や「少し」や「少々」などのように、同じ意味の言葉が複数あれば、どの言葉を使うべきか迷ってしまいますよね。そのような場合は、最も折り目正しい響きを持つ「言葉」を使えばいいと覚えておいて下さい。
例えば、「○○は、今すぐまいります」よりは、「○○は、ただ今まいります」という方が、折り目正しい言葉使いになります。
全然大丈夫は、大丈夫ではない?
いつの頃からか、「全然大丈夫」や「全然OK」などという言葉が、普通に使われていますよね。でも、本来「全然」という言葉は、否定するときに使う言葉です。例えば、「全然できない」「全然痛くない」「全然わからない」という感じですね。
ですから、「全然大丈夫」という使い方は間違いなのです。
そのため、「全然」の正しい使い方を知っている人は、「全然大丈夫」と言われると、大丈夫なのかそうでないのか分からなかったり、言いたいことは察してもらえても、違和感を感じてイラッとされたりもします。私も、「全然大丈夫」という表現には、未だに慣れることが出来ません。
だから、肯定する場合は「全然」を使うべきではないのです。
でも、よく使われている言葉ですから、プライベートなら使っても構わないと思うかも知れないですね。ただ、普段からそのような言葉遣いをしていると、仕事の場でも、ついうっかり口から出てしまうものです。
だから、普段から使わないようにするべきでしょうね。
「分かりました」の使い方は難しい?
仕事上で「分かりました」という言葉を絶対に使ってはいけなということはありません。ただ、お客様と話をしているとき、「はい、分かりました」では、話し方に厳しい職場では通りません。
そのような場合は、「分かりました」ではなく、「かしこまりました」「承知致しました」がスラスラと出てこなくてはいけません。なお、上司と話をしているときも、「かしこまりました」「承知致しました」が望ましいと言えます。
このような言葉を使い慣れていない人にしてみれば、堅苦しさを感じるかも知れないですね。でも、あらたまった言い方であるだけに、地位や格式を尊ぶ人には快く響くものですし、このように言われて、気分を害する人はいません。
逆に、「分かりました」を使うと、言葉遣いが分かってない人だなと思われてしまいます。
以前、私は、電話で商品を注文したことがあるのですが、先方の担当者に「分かりました」と言われて、「なんだ、こいつ」と思ったことがあります。これは、「分かりました」という表現は、ビジネス上では、軽く聞こえてしまうからだと思います。
ただ、「分かりました」という言葉が使えないのかというと、そうではありません。
例えば、上司や先輩に「ここば間違ってるんだよ。分かったな」と注意されたときは、「はい、よく分かりました」と言っても構わないのです。何故なら、この場合は「間違いなく理解しました」という意志表示になるからです。
られ敬語は使わない方がベター?
敬語の中には、混乱しやすい表現があります。それは、「れる」「られる」を使う場合です。
例えば、年配のお客様と若い社員の雑談で、お客様が「遠方にある○○へ歩いて行く」と言ったので、若い社員は「お一人で行かれますか?」と聞くと、その年配のお客様は、「○○ぐらい一人で行けるわい」と怒り出してまったという話があります。
これは、年配のお客様が「一人で行くことが出来るのか?」という意味に解釈してしまったということです。要するに、「高齢なので、一人行くのはキビシイんじゃないか」と、バカにされたような気分になったということですね。
そのような誤解を生みやすいのが、「れる」「られる」という言葉なのです。
「行かれる」「見られる」など、「れる・られる」の助動詞は、尊敬の意味を込めて言う場合もありますけど、受け身の意味もあります。だから、私としては、「れる」「られる」は、あまり使わない方が無難だと思っています。
ちなみに、上記の若い社員は、「いらっしゃいますか」または「おいでになりますか」と言っていれば、お客様に誤解させることは無かったはずです。
「お~なる」「お~する」の違いは?
敬語は、細かく分けると色々とあります。2007年に文化審議会が出した指針では、敬語は下記のように分類されています。
- 尊敬語
- 謙譲語①
- 謙譲語②(丁重語)
- 美化語
- 丁寧語
上記のように、敬語は5つに分けられていますけど、今回は、間違いやすい「尊敬語」と「謙譲語」を簡単に説明しますね。
尊敬語とは、相手の行為を丁寧に言い表す言葉です。例えば、「ご覧になる」「召し上がる」などです。
■ 謙譲語①
謙譲語①は、対象となる人物を持ち上げると同時に、自分を下げて表現する言葉です。例えば、「申し上げる」「拝見する」などです。
■ 謙譲語②
謙譲語②は、自分の動作を表現するときのことばで、「です」や「ございます」と合わせて使います。例えば、「申す」「存じる」などです。
謙譲語①と謙譲語②をまとめて簡単に説明すると、自分がへりくだり、相手への敬意を表す言葉ということになります。でも、使い慣れていなければ、難しく感じるかも知れませんね。実際、私の経験では、尊敬語と謙譲語を混同して使っている人は、意外に多いような気がします。
でも、上記の区別を知っていれば、そのような混同はしなくなるハズです。ですから、上記の3つは覚えておいて下さいね。あと、知っておいて頂きたいのが「お~なる」「お~する」の区別です。分かりやすい例を挙げますね。
「部長は、まもなく参りますので、ここで少々お待ちして下さい」
読んで頂ければ、何となく違和感を感じたと思いますけど、これは謙譲語と尊敬語を取り違えて使ってしまった例です。正しくは、「お待ちになって下さい」または「お待ち下さい」です。
相手を敬(うやま)って、その人の動作を表す尊敬語は、「お(ご)~なる」または「お(ご)~れる」となります。一方、へりくだって自分の動作を表す謙譲語は、「お(ご)~する」となります。この2つの決まりを覚えて、「待つ」などのように、具体的な動作を表す言葉をあいだに入れれば、不用意な取り違えはなくなるはずです。
次の章で、尊敬語と謙譲語の事例をもう少しご紹介しますので、だいたいのイメージを掴んで下さいね。
尊敬語と謙譲語の事例
上記の章で、尊敬語と謙譲語の基本的な考え方をご紹介しましたので、この章では、いくつかの事例を挙げておきますね。
<左が尊敬語で、右が謙譲語です>
- おっしゃる:申す・申し上げる
- お聞きになる:拝聴する
- お越しになる:伺う
- ご覧になる:拝見する
- 召し上がる:いただく
- いらっしゃる:おる
- なさる:いたす
- お会いになる:お目にかかる
- ご存じ:存じて
- お使いになる:使わせていただく
あと、間違った使い方をされている場合が多い表現もご紹介しておきますね。
- (誤)おっしゃられる:(正)おっしゃる
- (誤)お帰りになられる:(正)お帰りになる
- (誤)ご苦労さまでした:(正)お疲れ様でした
- (誤)お飲みください:(正)おあがりください
- (誤)お待ちしてください:(正)お待ち(になって)ください
- (誤)そちら・おたく:(正)そちら様・おたく様
「お」を付ければ敬語になるの?
敬語を理解していない人の中には、何にでも「お」を付ければいいと勘違いしている人がいます。例えば、「お食べ下さい」「お行きになりますか」のように、普通の言い方に「お」を付けても尊敬語にはなりません。文法的には、間違ってはいないのですが…。
他には、「お飲み下さい」「おやりになりますか」「お知りですか」なども尊敬語ではありません。尊敬語にするのであれば、下記のようになります。
- お食べ下さい ⇒ お召し上がりください
- お行きになりますか ⇒ いらっしゃいますか
- お飲み下さい ⇒ おあがり下さい
- おやりになりますか ⇒ なさいますか
- お知りですか ⇒ ご存じですか
他には、「先ほど申されたこと」という言い方をする人は非常に多いのですが、これは謙譲語と尊敬語が混じって、結局は謙譲語にも尊敬語にもなっていません。この場合は、「先ほどおっしゃったこと」というべきです。
このように、いくつも例を出すと、他にも分からないことがたくさんありそうだな…という気になるかも知れないですね。確かに、他にも色んなパターンがあります。ただ、敬語は意識して使って覚えていくしかないんです。だから、周囲に敬語が上手な人がいれば、その人の言葉遣いをマネるのもいいでしょうね。
下記に、「お」と「ご」の付け方のルールをご紹介しますので、覚えておいて下さいね。
- 動作:ご出席・お話し
- 物:ご住所・ご意見・お手紙
- 状態:お元気・ご病気
- 外来語:ビール・コーヒー・トイレなど
- 公共物:役所・学校・電車など
- 自然:山・川・雨・台風など
- 動植物:犬・猫・牛・木・草など
上記のルールを見て頂くと、「お」や「ご」を付ける場合は、相手に関わることに敬意を表すときであることが分かると思います。ちなみに、慣用が固定化している場合もあります。例えば、「ご飯(飯)」「おはよう(早よう)」「ごちそう(馳走)」などです。
敬語が続くときは、どうすればいい?
敬語は、多用し過ぎると、逆にわずらわしい印象を与えてしまいます。特に、仕事上では、余計な敬語はなるべく省いて、スマートにいきたいものですよね。ただ、省略するにも、やはりルールがあります。
そのルールですけど、基本的には「前に出てくるモノを省略して、あとの方に敬語を付ける」と収まりが良く失礼にもなりません。
例えば、「部長は、お車で行く」という表現は、何となく落ち着きが悪い感じですよね。これをルールに則って言い換えると、「部長は、車で行かれる」となります。ただ、もっと丁寧にしたい場合は、「部長は、お車でいらっしゃる」ですね。
要するに、頭でっかち尻すぼみのような感じで、後の方の敬語を欠くと不安定な感じがするので、敬語を省略するときは注意して下さいね。
それでは、もう少し事例を挙げてみますね。
- ○○にご出席しますか? ⇒ ○○に出席なさいますか?
- ご注文を届ける日ですが ⇒ 注文のお届け日ですが
- お日にちの変更ですか? ⇒ 日にちのご変更ですか?
このような感じです。だいたいイメージ出来てきましたでしょうか。これらは、あとに来る敬語は、前の部分を総括するのですが、最初の敬語は後には及ばないということです。だから、最初の敬語は省略しても、最後は敬語で締めくくるようにして下さい。そうすることで、最小限の敬語が効果的に生きてきます。
成句や慣用句も敬語で表現すべき?
目上の人に失礼がないように…という思いから、とにかく敬語を使おうとする人は少なくないように思います。でも、使う必要のないところで使うと、逆におかしな表現になってしまいます。
例えば、「居ても立ってもいらっしゃれないかと…」という表現は、「居ても立ってもいられないかと…」という成句を「いらっしゃれない」と敬語の形に直してしまったために、おかしなことになっています。
ちなみに、ちょっと信じられないのですが、私は、下記のような間違った表現をする人を実際に見たことがあります。
- (正)初心忘るべからず ⇒ (誤)初心お忘れになるべからず
- (正)覆水(ふくすい)盆に返らず ⇒ (誤)覆水お盆に返らず
このような間違った表現を繰り返していると、日本語に対する常識を疑われかねません。いずれにしましても、成句や慣用句は、たとえ乱暴な表現のように思えても、そのまま使うのがルールです。
最後に
いかがでしたでしょうか。敬語は使い慣れていないと、いざというときに出てこないので、普段から意識して使うことが大切です。意識し続けていれば、自然に口から出るようになりますので(^^
ただ、尊敬語と謙譲語は間違いやすいので、この2つの基本的なことだけは、しっかり覚えておく方がいいと思います。
いずれにしましても、間違った言葉遣いをしている人と、しっかりした敬語で話している人がいれば、どちらがデキる人だと思われやすいのかは明白ですよね。
という訳で、相手に失礼がないように、正しい敬語を使わなければいけないのですが、それは自分への評価にも繋がりますから、正しい敬語を覚えておくことは、非常に大切なことですね。