こんにちは!ユウポンです。
かなり前の話になりますけど、私の妻は、妊娠中に足がむずむずして、なかなか寝付けないでいました。その頃は、病気だとは思っていなかったので、病院にも行かず妻は我慢していました。その後、自然に治りましたけど…。
そんなことはすっかり忘れていたのですが、何気なくネットを見ていたとき、妻の足むずむずは「むずむず症候群(むずむず脚症候群)」と呼ばれる病気だったことが分かりました。
ただ、娘が結婚することになりましたので、妻と同じような病気になってしまうと可哀相ですから、妊婦のむずむず症候群について調べることにしました。
それで、妊婦が何故むずむず症候群になるのか、どう対処したらいいのかなど、色々と分かりましたのでご紹介させて頂きます。結婚を予定されている方や、妊娠中の方にはお役に立てるのではないかと思いますので、どうぞご覧下さい。
※今回の記事中の情報は、以下の①~⑤の文献を参考にしています。
【参考文献】
①むずむず脚のカラクリ(新興医学出版社)
②脚がむずむずしたら読む本(メディカルトリビューン)
③レストレスレッグス症候群(アルタ出版)
④睡眠の病気(日本放送出版協会)
⑤睡眠の教科書(シャスタ インターナショナル)
妊婦がむずむず症候群になる原因は?
妊娠する前は何ともなかったのに、妊娠してから「むずむず症候群」になる女性は少なくありません。そのような女性たちは、妊娠してから症状が出始めたので、「妊娠で体に変化が起こったんだろうなぁ~」と何となく想像されたりしてると思います。でも、むずむず症候群になる原因なんて、普通の人には分からないですよね。
でも、実は単純な理由なんです。それは「鉄分」が不足するからです。それにしても、どうして鉄分が不足してしまうのでしょうね。
それも原因は単純なんです。それは、母親が蓄えた鉄分の多くは、母親のためには使われず、ほとんどがお腹の中の赤ちゃんに使われてしまうからなんです。そのメカニズムについては、後の章でもう少し詳しくご説明しますね。
ただ、赤ちゃんには元気に育ってもらわないといけないですけど、それで母親に不具合が出てしまうのはよくないですよね。ですから、次は対処法について、詳しく説明させて頂きますね。
妊婦の足むずむずの対処法は食事だってホント?
妊婦の足がむずむずするのは、鉄分不足が原因なのですから、対処する方法は明確ですよね。鉄分を補給すればいいだけです。といっても、サプリなどは結構な値段ですから、普段の食事で鉄分を補うしかありません。
ちなみに、妊娠前から鉄分不足の女性は、妊娠してから「むずむず症候群」になると、内服の鉄剤だけでは、不足分を補いきれないと言われています。
そのため、妊娠を計画するのであれば、あらかじめ女性は充分な鉄分を蓄えておくことが大切ということですね。でも、鉄分の多い食べ物と言われても、ピンと来ない人も多いかと思いますので、鉄分の含有量が多い食べ物を紹介しておきますね。
鉄分の多い食べ物
妊婦のむずむず症候群は、鉄分不足が原因ですから、妊娠前から鉄分を充分に蓄えておくことが大切です。そのため、鉄分が多く含まれている食べ物を積極的に食べるようにしましょう。
【肉類(100g中に含まれている鉄分)】
・第1位…豚レバー:13.0mg
・第2位…鶏レバー:9.0mg
・第3位…牛レバー:4.0mg
・第4位…牛ヒレ肉:2.8mg
・第5位…牛モモ肉:2.6mgその他の鉄分を多く含んでいる肉類は、牛ランプ肉・牛肩肉・牛肩ロース肉・牛リブロース肉・牛サーロイン肉・鶏モモ肉・ラムモモ肉・豚肩ロース肉・豚肩肉・豚ヒレ肉・ラムロース肉・豚ひき肉・豚モモ肉・豚ロース肉・豚バラ肉・鶏ささみ・鶏胸肉などです。
【魚類(100g中に含まれている鉄分)】
・第1位…うなぎ肝:4.6mg
・第2位…かじか:2.8mg
・第3位…いかなご:2.5mg
・第4位…うるめいわし:2.3mg
・第5位…まいわし:2.1mgその他の鉄分を多く含んでいる魚類は、きはだまぐろ・かつお・みなみまぐろ赤身・めばちまぐろ・さんま・あんこう肝・まさば・きびなご・くろまぐろ赤身・にしん・あゆ・かたくちいわし・びんながまぐろ・あなご・さわら・まあじ・かんぱちなどです。
【野菜類(100g中に含まれている鉄分)】
・第1位…パセリ:7.5mg
・第2位…大根の葉:3.1mg
・第3位…こまつな:2.8mg
・第4位…えだまめ:2.7mg
・第5位…なずな:2.4mgその他の鉄分を多く含んでいる野菜類は、サラダ菜・そらまめ・みずな・ほうれん草・サニーレタス・グリンピース・しそ・春菊・高菜・ルッコラ・バジル・おかひじき・チンゲン菜・あしたば・ブロッコリー・モロヘイヤ・さやえんどうなどです。
【豆類(100g中に含まれている鉄分)】
・第1位…大豆(全粒・乾燥):8.6mg
・第2位…湯葉(乾燥):8.3mg
・第3位…炒り大豆:7.6mg
・第4位…凍り豆腐(乾燥):7.5mg
・第5位…きな粉:6.2mgその他の鉄分を多く含んでいる豆類は、あずき(乾燥)・がんもどき・湯葉(生)・グリーンピース(揚げ豆)・納豆・油揚げ・こしあんなどです。
それでは次の章では、鉄分が不足するとどうして足がむずむずしてくるのか、そのメカニズムについて説明させて頂きますね。
鉄分不足になると、何故むずむず症候群になるの?
妊婦の「むずむず症候群」は、鉄分不足が原因であることはお分かり頂けたかと思います。でも、鉄分が不足すると、どうして足がむずむずするのか気になりますよね。ただ、専門書に書いてあることをそのまま紹介しても、専門医でもない限り、それを理解するのは難しいです。
例えば、
「赤血球を運ぶために、ヘモグロビンと酸素が結合するのですが、ヘモグロビンが安定した構造を作るためには鉄分が必要になります。その鉄分は、胎盤から胎児へ流れていくのですが…」
こんなことを説明されても分からないですよね。
私も、参考にした書籍の同じ所を何度も何度も読み返したのですが、それでも何となくイメージ出来るようになった程度です。だから、ここでは簡単に説明させて頂きますね。
お腹の中にいる赤ちゃんに鉄分をどんどん使われると、母親に残された鉄分は、母親の赤血球を作ることに優先して使われるようになります。すると、色んな臓器へ送るための鉄分が足りなくなります。
そうなると、臓器だけでなく、母親の脳の鉄分も不足してしまいます。脳の鉄分が不足すると、脳の中にあるドパミン(ドーパミン)が増えてきます。それと同時に、ドパミン(ドーパミン)を受け入れる細胞が減っていきます。すると、体内のバランスが崩れて、むずむず症候群の症状が出てしまうという訳です。
ちなみに、ドパミンとは、「快感」や「意欲」を生み出す脳内ホルモンのひとつです。
- ① 母親の鉄分は、ほとんどが胎児に使われる。
- ② 母親の脳の鉄分が不足する。
- ③ 母親のホルモンバランスが崩れる。
- ④ 母親にむずむず症候群の症状が現れる。
でも、お腹の中の赤ちゃんが成長するにつれ、赤ちゃんの鉄の需要は減ってきます。これは、赤ちゃんのヘモグロビンが胎児型から大人型に切り替わって、赤ちゃんの細胞は、それほど鉄を摂り込まなくなってくるからです。
そして、母親が出産すると、一気に鉄の需要から解放されることになります。それで、母親は「むずむず症候群」からも解放されるという訳です。
何となくイメージできましたでしょうか。
ただ、出産後は「むずむず症候群」の症状は治まると紹介しましたけど、全ての女性が完治する訳ではないのです。その辺りのことを次の章で紹介させて頂きますね。
出産後も、むずむず症候群が続くってホント?
これまでは、出産を終えると、母親は赤ちゃんに鉄分を使われることがなくなるので、出産後は「むずむず症候群」は改善するとされていました。
確かに、ほとんどの妊婦は、出産すると「むずむず症候群」の症状は治まります。しかし、最近の追跡調査の結果では、妊娠中にむずむず症候群になった女性の中には、出産後も「むずむず症候群」の症状が出ていることが分かってきのです。
妊娠中に「むずむず症候群」になった女性を長期間追跡した調査では、妊娠中に「むずむず症候群」を経験した女性は、そうでなかった女性と比べた場合、7年間で4倍ぐらい慢性の突発性むずむず症候群を発症しているようです。(むずむず脚のカラクリ[新興医学出版社]より)
ちなみに、ドイツで行われた住民調査では、性別に関係なく、年齢が高いほど「むずむず症候群」になる割合が高かったそうです。あと、女性の場合、出産した子供の数が多いほど、むずむず症候群になる割合が高いという結果も出ていたのですが、出産経験のない女性の場合は、男性の割合と変わりがなかったそうです。
ということは、性別によって割合が変わるのではなく、妊娠したことで「むずむず症候群」になる確率が高くなったということですね。
むずむず症候群は、薬で症状を抑えることは出来ます。ただ、妊娠中は、胎児への影響を考えると、薬は飲まない方がいいですよね。だから、鉄分をしっかり摂っておくことが大切ということになります。
でも、出産後のむずむず症候群の症状は、薬を服用して症状を抑えることをお勧めします。毎日毎日、むずむず症候群のせいで、寝付けないのは苦痛ですからね。
ただ、薬の副作用を心配する人もいるかと思います。その場合は、別ページの「むずむず症候群薬で使う薬の副作用が心配ならコレを見て! 」を参考にして下さい。
ところで、妊娠中に「むずむず症候群」になっていた場合、赤ちゃんに遺伝するのでは…と心配になりますよね。そこで、むずむず症候群は遺伝するのかを次の章で紹介していますので、どうぞご覧下さい。
むずむず症候群は遺伝するの?
むずむず症候群は遺伝するのかどうかという問題ですけど、久米クリニックの久米院長は、患者さんにそのような質問をされた場合は、次のように回答していると書籍(むずむず脚のカラクリ[新興医学出版社])で紹介されていました。
「家族にむずむず症候群を発症した人がいれば、親から子へ50%の確率で遺伝すると考えられます。ただ、体質が遺伝したからといって、ただちにむずむず症候群を発病する訳ではありません。」
ということは、遺伝する可能性はあるというだけで、生まれてくる赤ちゃんに「むずむず症候群」が必ず遺伝するという訳ではないということですね。しかも、遺伝したとしても、必ず発症するとは限らないということです。
各国で「むずむず症候群」に関する調査が行われていますけど、可能性の割合が示されているだけで、確実にどうなるかまでは判断できていないようです。
要するに、むずむず症候群の遺伝については、まだまだ研究段階ということです。という訳で、遺伝したとしても、確実に発症する訳でもないので、過度に心配される必要はないかと思います。
各国の研究については、『むずむず脚のカラクリ[新興医学出版社]』という書籍で、調査結果がたくさん紹介されていました。ここでは、その一部をご紹介しますね。
突発性(慢性ではない)のむずむず症候群と診断された約200人の患者のうち、「むずむず症候群の症状を発症した家族がいる」と答えたのは約3割だった。なお、35歳までに症状が出た患者の場合は、「むずむず症候群の症状を発症した家族がいる」と答えたのは約4割だった。
この割合は、他の神経系の病気と比べると、明らかに大きな割合なんだそうです。
病気の原因が遺伝子によるものかを調べる場合、一番効率がいいのは一卵性双生児の患者を診ることだそうです。一卵性双生児の一方に病気が発症したとき、他方にも同じ病気が発症していれば、遺伝子の異常がその病気の原因である可能性が高いとみるそうです。
それで、アメリカRLS財団は、一卵性双生児のむずむず症候群患者を調査したところ、83%で両方がむずむず症候群を発症していて、67%が父親か母親のいずれかがむずむず症候群を発症していたそうです。ただ、症状の発病年齢や重傷度については一致しないそうです。
発病年齢が30歳以下の場合、ひとつの遺伝子が原因である可能性が高いとされたが、30歳を越えてから発病した人の場合、ひとつの遺伝子では説明がつかなかったそうです。だから、複数の遺伝子が原因している可能性もあるし、環境が原因しているのかもしれないということだそうです。
色々な調査を見ると、遺伝的な要因だけでなく、後天的な要因も加わって、初めて発病するという感じですね。いずれにしましても、むずむず症候群の遺伝に関しては、完全には解明されていないってことですね。
最後に
いかかでしたでしょうか。妊婦が「むずむず症候群」になるのは、鉄分不足だということはお分かり頂けたかと思います。そのため、結婚して子供を作ろうと考えているご夫婦は、奥さんが鉄分不足にならないように気をつける必要があります。
ただ、鉄分のことばかり考えていては、栄養バランスが偏りますので、食卓に並べる品数を多くして、バランス良く栄養を摂取することが大切ですね。
むずむず症候群は、遺伝の可能性はあるようですけど、後天的な要因が加わらなければ、むずむず症候群を発症しないこともあるようですから、結局は規則正しい生活をすることが一番大切ということになりますね。