どうもどうも!ユウポンです。
私には、アスペルガー症候群の知人がいます。その知人は、現在は結婚もしていて、普通に生活をしていますけど、子供の頃は、友達がほとんどいなかったそうです。
でも、知人は、友達がいないことに、あまり違和感は抱かなかったようです。ただ、知人の両親は、それがとても心配だったらしいです。それは、大人になってから聞かされたようですけど…。
その話を聞いて、私は「アスペルガー症候群の子供は、どうして友達を作りにくいのか」という点に的を絞って、色々と調べてみました。
調べてみて分かったのは、アスペルガー症候群の子供に友達が出来にくいのは、ひとつのことだけが原因ではないということです。色んなことが重なって、そうなってしまうのです。ただ、その色んなことをひとつずつ解決していくことで、友達を増やしていくことは可能でもあるのです。
という訳で、今回は、アスペルガー症候群の子供の特性を理解した上で、どのように子供を教育すれば、友達作りが出来るのかをご紹介させて頂きますね。
※今回の記事中の情報は、下記の文献を参考にしています。
【参考文献】
①真っ先に読むアスペルガー症候群の本 著:司馬理英子(主婦の友社)
②家族のためのアスペルガー症候群・高機能自閉症がよくわかる本 著:原仁(池田書店 )
③アスペルガー症候群の子どもを育てる本 著:佐々木正美(講談社)
子供の友達作りのために、親がすべき事は?
まず、本題に入る前に、アスペルガー症候群の特性を簡単に説明しておきますね。それをある程度理解しておかないと、後の話が分かりにくくなりますので…。
- 相手の表情や言葉の抑揚などから、相手の気持ちを察することが出来ない
- 相手の言葉をそのまま受け取ってしまう。(裏にある気持ちを汲み取れない)
- 相手の気持ちを考えずに、思ったことをそのまま口にしてしまう。
- 同時に2つ以上のことをするのが苦手。
- 特定の物事に強い関心を持つが、関心のないことには全く無関心でいる。
- 状況に応じて、臨機応変に対応できない。
- 計画を立てる事や、系統だった準備が出来ない。
アスペルガー症候群の子供は、生まれながらにして、上記のような特性があります。そのため、周囲の人達と良い関係を築きにくいので、「生きにくさ」を感じることが少なくありません。それは、周囲の人達が、その特性を理解していないことに原因があります。
だからといって、特別扱いが必要ということではありません。
例えば、足をケガして松葉杖を使って歩いている人には、転ばないように、まわりの人が気を遣いますよね。体調が悪そうな人には、無理をしないように、まわりの人が気を遣いますよね。
それと同じで、アスペルガー症候群の特性を持っている子供にも、気を遣ってあげるということです。ただ、気を使うといっても、何かをしてあげるというよりは、問題を起こしたときに、下記のようなことを教えてあげるということです。
- 取るべき行動
- してはいけないこと
- 相手の気持ち
でも、この3つは、たった1つのパターンを教えるだけで、全てのシチュエーションで通用する訳ではありません。そのため、子供が問題を起こすたびに、そのことに対して、どのようにすべきかを教えてあげる必要があります。
ただ、今回は「友達が出来ない」ということに的を絞ってお話しています。
そのため、アスペルガー症候群の子供に友達が出来にくいという点について、主にどんな原因があるのかを考えると、私は下記の6つのケースが考えられると思います。
- 自分の意見を押し通す
- 友達のミスを指摘する
- 友達の輪に入れない
- 他人の物を勝手に使う
- 悪気はないが悪口を言う
- 好きな子にしつこくする
それでは、上記の6つをひとつずつ見ていきましょう。
自分の意見を押し通して問題が起きた場合は?
アスペルガー症候群の子供は、自分が興味を持ったモノに対しては、かなりの集中力を発揮します。でも、自分が興味を持っていないことや、他人のことに関しては、意識が向かないという特性があります。
そのため、自分の意見は一方的に話し続けるのですが、相手の話を聞こうとはしません。そんなことをされると、ほとんどの人は気分を害しますよね。
でも、悪気があってしてるのではありません。
アスペルガー症候群は、相手の気持ちを察することが出来ないという特性もあります。例えば、相手の表情や言葉の抑揚で、相手の感情を読み取ることが出来ないのです。
そのため、相手が迷惑がっていても、それを察することができないまま、自分が正しいと思っていることをしっかり伝えようとしてしまいます。それが、結果的に、人の意見に耳をかそうとせず、自分の意見を押し通すということになってしまうのです。
アスペルガー症候群の子供は、自分の意見を言い続けることが、相手に苦痛を与えているかも知れないとか、相手も話しをしたいのでは…などと、気持ちを察することが出来ません。
そのため、頭ごなしに「相手の話も聞きなさい」と叱っても、アスペルガー症候群の子供は、その意味を理解することが出来ないのです。
ですから、まず教えてあげて欲しいのは、相手に話をさせず、自分ばかりが喋り続けていると、相手は苦痛を感じるのだということです。でも、アスペルガー症候群の子供は、交互に会話をする最適なタイミングは分かりません。
その最適なタイミングは頭で考えても分からないので、友達と話をするときは、「時計を見ながら、自分が話す時間と、相手が話す時間を区切るように」と教えてあげて下さい。そうすれば、相手の話が聞けるようになりますので、自分の意見を押し通すような話し方を避けることが出来ます。
もし、時計がないのであれば、話を聞くフリだけでもするように教えてあげて下さい。聞いているフリであっても、自分の意見ばかり言わなくなったと印象づけることが出来れば、まわりの見る目は変わってきます。
要するに、人と話すときのコツは、「会話のキャッチボール」が大切だと教えてあげるということです。
友達のミスや間違いを許せず問題を起こした場合は?
アスペルガー症候群は、自閉症のひとつです。自閉症の子供は、こだわりが強いのですが、アスペルガー症候群の子供も、こだわりが強いという特性も持ち合わせています。
ここで言う「こだわり」とは、「物の置き場所」「校則などのルール」「スケジュール」「一度決めたこと」「漢字の書き順」「年号の正確さ」などに対して、少しでも違っていると、それを見過ごすことが出来ないという「こだわり」です。
例えば、授業中に友達が年号を間違えたり、漢字の書き順を間違えていたりすると、ミスを許せないという「こだわり」から、まわりの空気を読まずに、強い口調で指摘したりします。
ただ、こだわりの強さに反比例して、気にすべきことを全く気にしないという特性もあります。例えば、「一般的なマナー」「その場の雰囲気」「他人の気持ち」「話の流れ」などです。
そのため、まわりの友達からは、自分にはあまく他人に厳しいという風に見られてしまい、「融通が利かない」「うざい」などと厄介者扱いされることが少なくありません。
こだわりを一気に無くすことは無理ですから、少しずつこだわりを減らしていく根気が大切です。そのためには、親のサポートは必須です。
まず、ひとつひとつの事に対して、相手はどのように感じているかを教えることが大切です。なぜ、そのように感じるのかを理解することが出来なくても、その時にどのような態度でいるべきかを教えてあげなければいけません。
例えば、授業中にクラスメイトが発表していて、強い口調で間違いを指摘をして問題になったとします。そのような場合、「それは先生も気付いていることなので、後から、先生が間違い指摘してくれから、あなたは言わなくてもいいのョ」と教えてあげて下さい。
要するに、クラスメイトが発表している最中に、それをさえぎって、ミスを指摘するようなことはしてはいけないことを教えてあげるのです。
このようにして、何か問題を起こしたときは、その度に、ひとつひとつ対応方法を教えてあげて下さいね。
友達の輪に入れない場合は?
ほとんどの学校では、クラスに数十人の子供がいる訳ですから、いくつかの仲良しグループが出来上がるのが普通です。10人ぐらいのグループもあれば、数人のグループもありますけど、アスペルガー症候群の子供は、どのグループにも入れないことが多いのです。
それは、他人と上手くコミュニケーションが取れないため、相手に合わせることが出来ないからです。相手に合わせられないということは、協調性がないということですよね。
協調性がなければ、自分勝手な人間だと思われてしまいます。ひどい場合は、無視されたり、意図的に仲間はずれにされることもあります。
でも、アスペルガー症候群の子供は、なぜ友達の輪に入ることが出来ないのかを理解できないのです。
アスペルガー症候群の子供は、相手の言葉を、そのままの意味で解釈することしか出来ません。
そのため、逆説的な言い回しなどをされると、言葉の裏にある本当の意味を察することが出来ないのです。あと、上記の章でも少し触れましたけど、「顔の表情」「身振り」「言葉の抑揚」などで、相手の感情を推し量ることも出来ません。
例えば、体育の授業でマラソンをしたあと、息を切らしてツラそうにしている友達に「しんどいの?」と聞いて、友達がやせ我慢をして「大丈夫」と答えると、アスペルガー症候群の子供は、単純に「大丈夫なんだ」と思ってしまうのです。
他には、友達にぶつかってしまったとき、相手がムッとした顔をしていても、その表情を見て「少し怒っているな」と察することが出来ないのです。
そのため、アスペルガー症候群の子供は、他人に気を使うことは、かなり難しいのです。ですから、無理をしてグループに入っても、集団行動をするだけで、かなりのストレスになってしまいます。そのストレスが大きくなってしまうと、精神的に病んでしまうこともあります。
だから、無理にグループに入ろうとしたり、仲間を作ろうとする必要はありません。グループにこだわることなく、理解してくれる友達と、無理のない範囲で付き合っていくようとに教えてあげて下さい。
他人のモノを勝手に使って問題になったら?
自宅は私的な場所ですし、学校は公的な場所です。このようなことは、特に教えなくても、自然に覚えるものですが、アスペルガー症候群の子供は、社会性が乏しいので、その区別がなかなか出来ません。
そのため、友達の持ち物・学校の設備や教材・公共施設にあるモノなどでも、自分のモノのように使ってしまうことがあります。
友達の消しゴムを借りるような場合、一声かければ問題ないのですが、そういうことが分からないのです。あと、暗黙の了解みたいなことも理解できないため、他人のテリトリーに遠慮なく入っていってしまいます。
ただ、そのようなことをしたとき、注意の仕方を間違えると、何も出来なくなってしまうことがあります。例えば、「他人のロッカーを勝手に開けるな」と注意をされると、ロッカーの掃除が出来なくなってしまうこともあります。
上記のようなことは、理解が出来てないだけですから、分かりやすく教えれば、理解することが出来ます。アスペルガー症候群の子供は、ルールを守ることは得意ですからね。
そのため、「他人のロッカーは開けてはいけない」「他人の筆記用具は、勝手に使ってはいけない」などと明確なルールを作り、それを教えます。
言葉で伝えるより、視覚で見せる方が分かりやすいため、自分が自由に使って良いモノと、勝手に触ってはいけないモノを区別した絵や図をカードにして、それをいつも持たせておくのも良い方法です。
悪口を言って問題を起こした場合は?
アスペルガー症候群の子供は、曖昧な表現に弱いので、「その辺りを掃除して」と言われても、どの辺りのことなのか分かりません。他には、「悪口を言うな」と言われても、具体的に何が悪口になるのかも分かりません。
例えば、太っている相手に、「太ってるね」などと平気で言ってしまいます。言った本人は、全く悪気はなく、太っていると思ったから「太っているね」と言っただけなのです。
しかし、その言葉を聞いたまわりの友達は、「悪口を言うな」と怒ります。その場は、何となく分かったような返事をしてしまっても、何が悪口なのか分かっていないのですから、また同じことを繰り返してしまいます。
そのため、アスペルガー症候群の子供に理解できないような、曖昧な正解を伝えても意味がないのです。
「太っているね」と言った場合、相手がどのような気持ちになるのかを教えます。その際、アスペルガー症候群の子供は、何故そのような気持ちになるのかは理解できていません。
でも、理屈はともかく、太っている人は、太っていることに劣等感を抱いている場合が多いので、そのことを露骨に指摘されると、気分を悪くするということを教えてあげて下さい。例えば、「リンゴ」を何故リンゴと呼ぶのか教えずに、これは「リンゴ」だと教えるのと同じです。
その理由を理解していなくてもいいので、そういうモノだと覚えさるのです。丸暗記のようなものです。そして、そういうことを言ってはいけないことだと覚えさせて、同じことを繰り返さないようにさせて下さい。
好きな子に、しつこくしてしまう場合は?
アスペルガー症候群の子供は、相手が「困っている」」「戸惑っている」「迷惑がっている」などの感情を察することが出来ません。
そのため、好きな女の子をジロジロ見続けたり、家の前で待っていたりすることがあります。あと、好きな女の子に対して、どのように接して良いのか分からず、テレビ番組やマンガなどで覚えたセリフを、そのまま言って告白することもあります。
要するに、自分の気持ちを優先していまい、相手と全くコミュニケーションを取らないまま、自分の気持ちを一方的に押しつけてしまうということです。
そのため、相手は引いてしまったり、あまりのしつこさに怖がったりしても、それを察することが出来ず、場合によってはストーカー扱いされてしまうこともあります。
人を好きになることは悪いことではありません。当然、恋をすることも自然なことで、決して悪いことではないのですが、適切な接し方を教える必要があります。全く親しくない相手に対する接し方や、交際の順序をひとつずつ教えることが大切です。
あと、テレビ番組やマンガなどは、非現実的なことが多いため、それをマネしないように教えておくことも必要です。
これで6つパターンの説明は終わりです。これが全てとは言えないですけど、子供が問題を起こしたとき、どのようなアドバイスをすれば良いのか、だいたいのイメージは掴んで頂けたかと思います。ただ、どんなことでも手助けするのは、子供にとって良くないとも言えます。
そこで、次の章では、アスペルガー症候群の子供にとって、どんな支援が必要なのかをご紹介しますね。
間違った支援は成長を妨げます!
アスペルガー症候群の子供は、基本的に自分で何でもしたいと思っています。だから、むやみに助けられることを嫌う傾向にあります。
困っていることに対しては、助けを必要としますけど、「可哀相だから助けてあげよう」という考え方になると、見下したような対応になってしまうことがあります。そのような考えでいると、本人が困っていないことでも、助けようとしてしまうことにもなります。
そのようなことにならないように、アスペルガー症候群の特性を理解して、型通りの支援をするのではなく、本人の悩みをよく理解することが大切です。
あと、「何もさせないことが助けになる」と勘違いする人もいるのですが、それでは自立を妨げることになります。
アスペルガー症候群の子供は、他の子供たちと同じようにしたいと思っていますし、自分の価値を認めて欲しいとも思っています。そのため、出来ることを奪ってしまうのは、支援とは言えません。
一番大切なのは、よく話し合って、本人の気持ちに寄り添う支援をすることです。一方的な支援は、本人の成長を妨げることになります。なお、ときには支援することを減らして、本人の成長と自尊心を育むことも必要です。ただ、それをするには、よく話し合うと同時に、よく観察することが大切です。
そして、困っていることを丸々助けるのではなく、出来るだけ支援は必要最小限にして、本人に問題点を理解させたあとは、本人の能力を信じて見守ることで、本人に自信を与えてあげて下さい。
ところで、アスペルガー症候群の子供は、自分のことをどのように考えているのでしょうね。それを知っておくことは、とても大切なことです。少なくとも、親御さんが、子供の気持ちを理解してあげていないと、子供にツライ思いをさせることになってしまいます。
次の章では、その辺りのことについて説明させて頂きますね。
友達との違いに気付き始めた時、どうしてあげればいいの?
アスペルガー症候群の特性を持っている子供の中には、大人がビックリするような能力を発揮する子供がいます。例えば、コンピュータのことが非常に詳しかったり、車が大好きで、エンジンの種類などもスラスラ言える子供もいます。
そのため、「アスペルガー症候群 = 天才」というイメージを持っている人もいます。ただ、そのような子供でも、全ての面で秀でている訳ではなく、アスペルガー症候群の特性は持ち合わせていますので、健常者のようにいかないことは多いのです。
ですから、学年が上がるごとに、他の子供達には出来ることが、アスペルガー症候群の子供には出来ないことが多くなります。例えば、文章問題やスポーツの複雑なルールが理解できなかったりということです。
そのようなことが多くなると、劣等感を抱くようになります。
そして、「自分はバカだ」「笑われるから何もしたくない」などと考えるようになり、まわりの子供と同じように出来ないことで、無力感を抱くようになり、ふさぎ込むこともあります。ひどい場合は「うつ状態」になることさえあります。
本当は、全ての面で及第点に達することが出来ればいいのですが、アスペルガー症候群の特性のせいで、どうしても無理な面があるのは否めないのです。
例えば、同時に2つのことをするのは得意ではないので、先生の話を聞きながら、ノートに書くようなことは苦手と言えます。だから、他の子供と比べて劣っているのではなく、性質の違いであることを理解させてあげる必要があります。
要するに、「出来ること」と「出来ないこと」があるということを認識させるということです。そして、得意な分野に目を向けるようにしていけば、苦手な分野が気にならなくなっていきます。
最後に
いかがでしたでしょうか。友達を作るために、問題を解決する方法をひとつずつご紹介しました。
いずれにしましても、アスペルガー症候群の子供は、「うまく生きていける」という自信を持ちたいと考えています。
まわりの人達から信頼されることが、自信につながりますので、少しの進歩でも、みんなで喜び合い、評価してあげることが大切です。たとえ、アスペルガー症候群の特性によって、特異な行動をしたとしても、それを否定されるのではなく、そのようなことをしてしまうものだと、みんなが理解している環境が必要です。
失敗したとしても、叱られないと分かれば、積極的に行動できるようになり、その積極性が新たな知識を得る原動力となりますからね。
そのためには、まだまだ知られていない「アスペルガー症候群」というモノを、もっと広く認知してもらう必要がありますね。