ADHDの特徴:小学生の場合は3パターンある事を知って下さいね!


ADHDは、日本語では「注意欠陥多動性障害」といいます。その障害を簡単に説明すると、不注意が多く、自分をコントロールする能力が弱いので、落ち着きがなく、問題行動を起こすことが度々あります。

ただ、ADHDの小学生たちに、全く同じ症状が現れるという訳ではありません。その点について説明していますので、参考にして頂ければ幸いです。

ADHDの3つのタイプとは?

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ほとんどの病気は、日本に何人ぐらいの患者いるのかが調査されていて、それは公表されていますよね。

でも、ADHDに関しては、詳しい調査は行われていないようです。ただ、一般的に、小学校の1クラスに1~2人はいると言われていますから、30人に1人ぐらいの割合でいるということになるかと…。

ということは、さほど珍しい病気ではないと言えますよね。でも、ADHDに関しては、まだまだ理解されているとは、言い難いのではないでしょうか。

文部科学省は、ADHD(多動性障害)の定義を下記のように定めています。

■ ADHD(多動性障害)の定義
ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。

(文部科学省の資料より抜粋)

要するに、注意力散漫・自分勝手な行動などがADHDの特徴で、学校の授業についていけないということですね。あと、年齢に応じた社会性が乏しいことも挙げられていますね。そして、そのような特徴は、幼児の頃からみられるということです。

ADHDの特徴を簡単に説明すると上記のようになりますけど、もう少し詳しくみていくと、3つのタイプに分けることが出来ます。

それは、「不注意優位型」「多動性・衝動性優位型」「混合型」です。それぞれの詳細は、下記で解説しています。

ADHD全体の8割ぐらいは、不注意・多動性・衝動性を併せ持っていると言われてます。でも、その症状の現れ方は、全く同じではなく個人差があります。

例えば、不注意の部分が強く出ていて、多動性はほとんどない小学生もいれば、逆の場合もあります。他には、衝動性が特に際だっている小学生もいます。

不注意優位型とは


ADHDではない人たちは、自分がしている事や頭の中で考えている事(ワーキング)を客観的に観察して、それを記憶(メモリー)しています。これをワーキングメモリーと呼んでいます。

例えば、3時までに終わらせなければならない作業をしている場合、「今、2時半なので、作業ペースを上げないと3時までに終わらせられない」というような判断をします。

しかし、ADHDの子供たちは、ワーキングメモリーが上手く働かないのです。そのため、自分が置かれている状況を理解して、その場に応じた適切な行動が出来ないと考えられています。

例えば、下校時は宿題が出されたことを理解して覚えているのですが、帰宅途中にワーキングメモリーが上手く働いていないため、宿題を出されていたことを思い出せないのです。

■不注意優位型の特徴
・物忘れが多い
・物を無くしやすい
・気が散りやすい
・物事に集中できない
・片付けられない
・女の子に多い

不注意優位型の子供は、話し架けられても、ボーッとしがちなので、相手の話を聞いていないように思われがちです。あと、身だしなみに気が回らない、物事を順序立てて出来ないという側面もあります。

ただ、そのような症状は、友達関係で問題になることはあまり起こりません。教室の中にいても、目立つ存在にはならないので、ADHDであることに気付かれにくいタイプと言えます。

多動性・衝動性優位型とは


多動性・衝動性優位型の子供たちは、言葉の通り落ち着きがないのが一番の特徴です。例えば、衝動性を抑える自制心が働きにくいので、ささいなことで手を出してしまったり、大声をあげてしまうことなどがあり、教室を出ていってしまうことさえあります。

そのような行動は、周囲からすれば「乱暴な子」「反抗的な子」という風にみられがちです。そのため、大人から叱られやすく、まわりの子供たちから反感を受けやすい傾向にあります。

ちなみに、「多動性・衝動性優位型」は、ADHD全体の割合では少数派になります。

■多動性・衝動性優位型の特徴
・手遊びが多い
・欲しいと思ったモノをスグ手に取ってしまう
・手足を動かすのがやめられない
・落ち着きがない
・男の子に多い

混合型とは


混合型は、「不注意優位型」と「多動性・衝動性優位型」の両方の症状がみられるタイプです。ADHD全体の8割は、この「混合型」と言われています。

ただ、ひと口に混合型といっても、「不注意優位型」の傾向が強く出ている場合もあれば、「多動性・衝動性優位型」の傾向が強く出ている場合もあり、症状の現れ方は個人差があります。

例えば、順番待ちしている列の先頭に割り込んだり、授業中に消防車のサイレンが聞こえてくると、それが気になってソワソワし、授業に集中できなくなったりします。あと、思い付いたことをスグ言葉にしてしまうようなこともあります。

■混合型の特徴
・じっとしていられない
・無くしモノが多い
・忘れっぽい
・集中力に欠ける
・授業中、立ち歩いてしまう

ADHDは、不注意・多動性・衝動性の3つが特徴的な障害です。それらは、脳の機能障害であることは分かっているのですが、完全に解明されている訳ではありません。

そのため、治療方法を確立することも出来ないのですが、不注意・多動性・衝動性それぞれの原因は、脳の同じ部分が原因とは考えれていません。

何故なら、上記で不注意の主な原因は、ワーキングメモリーの機能に不具合があることだと紹介しましたけど、多動性や衝動性の症状は、ワーキングメモリーの機能では説明がつかないのです。

そのため、不注意が強く出る子供と、多動性や衝動性が強く出る子供とでは、原因となる脳機能の障害も違っているのではないかと考えられています。

ただ、それぞれが異なる障害であったとしても、不注意・多動性・衝動性は、合併して起こりやすいものであることに変わりはありません。

あと、ADHDの症状によっては、子供に知的障害(精神遅滞)もあるのではないかと考える大人もいるようです。しかし、それは違います。

その辺りのことは、次の項目で説明していますので、参考にして下さい。

ADHDと知的障害は別モノ

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上記でも説明しましたけど、ADHDの不注意優位型の子供は、ボーッとしがちで、説明されたことが理解できていなことが少なくありません。

そのため、授業態度は良いのですが、先生の質問に答えられず、テストの成績もよくないという状況もありますので、大人から見れば知的障害があるのでは…と見られてしまう場合があります。

しかし、本当に知的障害があるのであれば、病院で診察を受けたときに、ADHDではなく「知的障害」と診断されます。それは、ADHDと知的障害の状況が同じに見えても、その本質は全く異なったものであるからです。

ADHDの子供は、学習内容を理解する能力はあります。そのため、授業に集中できる環境を整えてあげれば成績はアップします。

しかし、知的障害のある子供は、理解力そのものに問題がありますから、環境に関係なく、授業の内容を理解することは難しいのです。

ただ、ADHDと軽度の知的障害が併存する場合もありますから、気になるようでしたら、医師に相談してみるべきでしょう。

最後に

ADHDといっても、子供によって症状に違いがありますので、その子に応じた対応をする必要があります。それが、その子に生きやすさを与え、社会に適応できる人間に育てることになります。

そのためにも、周囲の人達は、ADHDの細かな特性を理解しておくことが大切ですね。

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