こんにちは!ユウポンです。
テレビを見ていたとき、番組でアナフィラキシー(アナフィラキシーショック)のことが取り上げられていました。その番組を見て分かったのですが、何らかのアレルギーを持っている人だけに、アナフィラキシーの症状が現れるのではなくて、特に何もなかった人でも、突然アナフィラキシーになる場合があるそうです。
それを知って、私は怖くなってしまいました。最悪の場合、死に至ることもあるそうですし…。それで、アナフィラキシーというモノをよく知っておくべきだと思いました。という訳で、私は書籍を集めて色々と調べてみましたのでご紹介しますね。
なお、アナフィラキシーの症状をご紹介する前に、まずはアナフィラキシーについて、簡単に説明させて頂きますね。
※今回の記事中の情報は、下記の文献を参考にしています。
【参考文献】
①アナフィラキシー対応と予防 著:角田和彦(拓殖書房新社)
②アナフィラキシーショック 著:光畑 裕正(克誠堂出版)
③食物アレルギーとアナフィラキシー 著:角田和彦(芽ばえ社)
アナフィラキシーとは?
アナフィラキシーとは、アレルギー反応によって引き起こされる症状のことです。そのアレルギー反応とは、有害物質から自分の身を守るための「免疫機能」のひとつです。免疫機能は、外界から体内に有害な物質が入ってくると、その有害な物質を攻撃して身を守ってくれます。
でも、何らかの原因で、その攻撃に歯止めが掛からなくなると、自分自身を攻撃してしまう場合があります。
免疫機能が暴走してしまうと、全身に様々なアレルギー状態が急激に起きて、最悪の場合は自らの生命を絶つような状態にまで至ってしまうのですが、それがアナフィラキシーという言われるモノです。
もう少し具体的に説明しますと、普通のじんましんは、皮膚の表面だけですけど、アナフィラキシーになるようなときは、じんましんが内部臓器でも起こるので、全身がむくんできて腫れ上がります。
そして、内臓臓器(呼吸器・消化器・神経系・循環器など)も腫れてくるので、それぞれが機能異常を起こしてしまいます。要するに、全身の臓器が浮腫(むくみ)を起こして、色んな臓器が機能しなくなってしまう状態がアナフィラキシーという訳です。
臓器が機能しなくなるということは、生命の危機にさらされるということです。これは、本当に怖い状態ですから、アナフィラキシーになった場合は、1秒でも早く病院に連れていく必要があります。
なお、アナフィラキシーを発症したからといって、全ての人が死に至る訳ではないですけど、毎年数十人がアナフィラキシーによって亡くなっています。
ちなみに、私の長男は「アトピー性皮膚炎」です。特に、卵と猫がダメで、誤って卵が入っている食べ物を食べると、「舌がシビれてきた」などと言いますし、猫がいる部屋に知らずに入ってしまうと、猫に触っていなくても体中に湿疹が出始めます。
長男のように、免疫機能が暴走しても、舌がシビれたり湿疹が出来る程度で終わっていればいいのですが、それで終わらずに、免疫機能がもっと暴走してしまうと、アナフィラキシーになって死に至ることもあるということですね。
アナフィラキシーについて、簡単に説明させ頂きましたけど、だいたいご理解頂けましたでしょうか。それでは、次の章で「アナフィラキシーの症状」につていご紹介させて頂きますね。
アナフィラキシーの症状って?
アナフィラキシーになると、様々な症状が現れてくるのですが、それが下記のような症状です。
- じんましん
- 全身の浮腫(むくみ)
- 吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・血便
- 咳・喘息・喉頭のむくみ・呼吸困難
- 胸痛・動悸・不整脈
- めまい・頭痛・血圧低下(アナフィラキシーショック)
- 意識喪失・意識混濁・けいれん・死亡
じんましんだけで治まればいいのですが、じんましんは、アナフィラキシーの始まりである可能性があります。そのため、その後の観察がとても大切です。もし、下記のような状態であれば、アナフィラキシーに進行していく可能性がありますので、出来るだけ早く病院で診てもらう必要があります。
- 息苦しく、呼吸困難が始まったとき(気管支炎喘息発作の合併)
- 意識がだんだん遠くなっていき、気を失ってしまったとき
- 血圧が下がり、脈が触れにくくなったとき、又は脈が乱れてきたとき
- 全身がむくみ、全身に赤みが出てきたとき
- 吐き気や下痢がヒドイとき
上記の章で、何度も死に至る可能性があると紹介しましたけど、アナフィラキシーは本当に危険ですから、素人判断で「大丈夫だろう」という過信は禁物です。誰でも最悪のことは考えたくないですから、大丈夫だろうと思いたくなるモノですけど、安易に考えてはいけないということですね。
それでは、次の章では、じんましんやむくみなど、アナフィラキシーの症状を、ひとつずつ説明させて頂きますね。
じんましん
じんましんは、多くの事例でアナフィラキシーの始まりとなっています。最初は、唇・まぶた・ヒザの裏側など柔らかい部分が赤みを伴って薄く盛りあがって、それが広がっていきます。そして、隣のじんましんとくっついて大きくなっていきます。
目にじんましんが起きると、白目の部分がゼリー状に腫れあがって、黒目がゼリー状のモノの中に埋まってしまいます。
じんましんになる原因は、食べたモノの成分が血液の中を流れて、皮膚に到達してじんましんになる場合と、原因となる物質が皮膚に直接接触して、皮膚から成分を吸収してしまい、じんましんになる場合とがあります。
じんましんになると、かゆみがあるハズですけど、激しいアナフィラキシーの場合は、他の具合の悪さで、じんましんのかゆみが隠れてしまって、かゆみを感じない場合もあります。
浮腫(むくみ)・紅潮
皮膚の表面よりもっと深い所にある臓器が腫れて、皮膚の表面は赤くなります。ただし、症状の初期は、赤みが目立たず、青白くむくむ事があります。でも、時間の経過と共に赤くなっていきます。
じんましんの場合は、皮膚表面の症状ですけど、浮腫(むくみ)は全身性で、皮膚のより深い場所での症状ですから、アナフィラキシーであることを認識するキッカケとなります。食べ物が原因の場合は、口がタラコのように腫れあがることがあります。
吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・血便
原因となる食べ物を食べると、口の中の粘膜や腸の粘膜が腫れあがりますので、様々な消化器の症状が起こります。
なお、食べた直後に何か変な味を感じることもあります。そして、しばらくすると吐き気が起こって、原因となる食物を吐き出すことがあります。ただ、小さな子どもの場合は吐くことが多いのですが、大人の場合は吐き出すことはあまりありません。
ただ、吐き出すことが出来ると、そのあとの症状が軽くなる場合があります。また、多くの場合に腹痛が起こって下痢になります。これは、下痢をして原因物質を体外に排出することによって、体を守ろうとしているのです。その際、アレルギー症状が強く、粘膜の損傷が強い場合は、血便が出ることもあります。
咳・喘息・喉頭のむくみ・呼吸困難
鼻の粘膜・喉や気管・気管支の粘膜が腫れますので、空気の通り道が狭くなって呼吸が苦しくなります。そして、咳が出て、気管支喘息の発作を起こしてしまいます。
他には、声帯が腫れて、声が急にかれてしまうこともありますし、喉の奥が腫れてしまうと、急に呼吸が出来なくなることもあります。
肺の酸素を体内に取り入れる場所が腫れてしまうと、酸素の取り入れが悪くなるので、血液中の酸素濃度が減って息苦しさ(呼吸困難)が出ます。
胸痛・動悸・不整脈
肺の中が腫れると、胸痛を起こすことがあります。心臓がむくみを起こしたり、心臓を支配している神経の働きが変調を起こしたりすると、動悸を覚え重篤な不整脈を起こす場合もあります。
この状態までくると、本人もかなり不安な状態になっているでしょうね。
めまい・頭痛・血圧低下(アナフィラキシーショック)
神経系統の働きがおかしくなったり、血圧が下がったりすることで、めまいが起こります。脳が腫れたり、酸素濃度が下がったりしますので頭痛が始まります。
全身の血管が一気に拡がりますので、血圧が下がってしまいます。進行が速いアナフィラキシーショックの場合、全身が赤く腫れる前に、急激に血圧が低下してしまいます。そして、最悪の場合は死に至ることもあります。この場合、アナフィラキシーショックとは分からず、心臓麻痺や不整脈死と判断される可能性があります。
ただ、血圧の低下時期を乗り越えることが出来ると、全身が赤く腫れあがりますので、アナフィラキシーの可能性を疑うような状態になります。
意識喪失・意識混濁・けいれん・死亡
脳の神経の働きがおかしくなって、血圧が下がりますので意識が悪くなります。また、意味不明な言葉を口走ったり、ヒドイ場合は痙攣(けいれん)を起こしてしまいます。
そして、最悪の場合は、呼吸困難・血圧低下によって、呼吸停止・心停止となります。
アナフィラキシーの症状のご紹介はここ迄です。
ただ、これらの症状は、原因物質を体内に摂り込んでしまったあと、どれぐらいの時間で発症するのかも知っておいた方がいいと思いますので、次の章で簡単に説明させて頂きますね。
アナフィラキシーは、どれぐらいの時間で発症するの?
アナフィラキシーの症状は様々で、上記の章で紹介した「アナフィラキシーの症状」の一部または全部が、多少の時間差で起こります。次々に状態が変わっていく訳ですから、アナフィラキシーの症状を知っておくことは、とても大切だということですね。
原因となる物質と接触したあと、早い場合は数分で起こります。大抵は、30分~2時間ぐらいで始まって、数時間で終息していきます。
原因となる物質と接触したあと、5~6時間以上経ってから症状が出始めて、数日続くような場合もあります。
なお、重症の場合は、即時型の反応が短時間で急激に起きて、病院に到着する前に死亡に至る可能性もあります。
という訳で、アナフィラキシーは死に至ることがありますから、本当に怖いですよね。ですから、最悪の事態を招かないためにも、アナフィラキシーを起こした場合の対処方法を知っておくことも大切です。
そこで、次の章では、アナフィラキシーになった場合の対処法をご紹介させて頂きますね。
アナフィラキシーになった時の対処法は?
重症で急激に進行するアナフィラキシーになった場合でも、敏速な対応で適切な処置をほどこせば、命を守ることは出来ます。
なお、命に関わる症状は、呼吸困難・血圧低下・けいれん・不整脈です。
これらは、発病して数十分以内に起こります。それを何とか乗り切ることが出来れば、そのあとは回復していきます。でも、そのときに酸素を脳に遅れない状態が長くなってしまうと、脳や各臓器は不全状態となってしまい予後が悪くなります。そして、最悪の場合は死に至ります。
いずれにしましても、敏速な対応が必要ということですね。
そのため、アナフィラキシーになった場合、現場での適切な対応が重要になりますので、その辺りのことを説明させて頂きますね。
アナフィラキシーを起こしたとき、まずしなければいけないのは、原因となるモノを取り除くことです。食べ物が原因の場合、小さな子どもは、原因となるモノを吐き出すことが多いのですが、大人の場合は吐き出すことは少ないので、吐き出せなければいけません。
吐き出させる方法は、腹部に手を当てて軽く押し付け、ノドの奥に指を突っ込んで吐き出させます。ただ、吐き出すときに、原因物質が気管に吸い込まれてしまうと、急激な呼吸困難が進行してしまいます。そのため、吐き出させるときは、吐物を気管に吸い込まないように、下向きの体位で行わなければいけません。
具体的に説明すると、寝転んで体を横に向けます。その際、顔を横に向けるだけではダメです。そして、顔を下方に向けて吐き出させます。
ただ、アナフィラキシーがかなり進行している場合は、吐いた物を気管内に吸い込んでしまう可能性がありますので、無理に吐き出させない方が良いとされています。
- 気道が狭くなって呼吸が苦しいとき
- 意識がないとき
- 意識が低下して朦朧(もうろう)としているとき
あと、原因が食べ物ではなく、接触した物で起こったと考えられる場合(ゴムへの接触など)は、その物質を即座に拭き取って洗い流す必要があります。
症状が出たあと、何が起こるか分からないので、周囲にいる人を出来るだけ多く呼び集めます。救急車を呼ぶ場合、住所が分かっている人がいれば、その人に頼めますし、偶然お医者さんや看護師さんがいるかも知れないですから。
原因を取り除いたら、衣服をゆるめて、仰向け又は横向けにして寝かせます。意識がおかしいときは、血圧が下がっている可能性がありますので、足の下に物をおいて、両足全体をやや高くすると、足の血液が体の方にまわって血圧が少し改善します。
薬が飲める状態であれば、常備している薬(気管支拡張剤・抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤・アナフィラキシー対策のための副腎皮質ホルモン剤など)を飲ませます。これらの薬を飲む理由は、今の状態を改善させるためではなく、こらから起こるかも知れない症状を予防するためです。
ただ、重症の場合は、吐き気があるので飲んでも吐いてしまうか、意識状態が悪い場合は飲めないこともあります。気管に薬が入ってしまうかも知れないと思われる場合は、無理に飲ませることはやめておくべきです。
何度もアナフィラキシーを繰り返す場合は、医師と相談してエピペンを自分で注射できるように訓練しておくことが必要です。ちなみに、エピペンとは、アナフィラキシーの症状を改善させるための交感神経刺激剤のことです。
エピペンという薬の話が出てきましたけど、「エピペンとは」「エピペンを使うタイミング」などについて、少し触れて起きたいと思いますので、次の章をご覧下さい。
エピペンを使うタイミングは?
エピペンは、元々はハチに刺されたときに、アナフィラキシーショックを軽減させて、病院に辿り着くまでの時間を稼ぐために製品化されたものです。そのため、林業従事者のハチ刺されによるアナフィラキシーショック予防のために輸入されていて、一部の人達に使われていました。
しかし、2005年4月から、日本国内でも販売できるようになったので、食物アレルギーなどによるアナフィラキシーショックに対しても使えるようになりました。といっても、医師の処方がなければ手に入れることは出来ないのですが…。
ハチに刺された場合は、アナフィラキシーショックを起こす可能性が高いので、ハチに刺されたらスグにエピペンを使います。あと、原因となる食べ物を食べたことが明らかである場合は、スグにエピペンを使用すべきと判断できます。
でも、食べ物によるアナフィラキシーの場合、いつ使うべきなのか…という判断はとても難しいのですよね。何故なら、原因となる食べ物を食べたかどうか分からない場合は、食べたことの確認をする必要がありますから。
食べたかどうか確認していると、どうしてもエピペンの使用が遅れてしまいます。あと、食べた量や加工度によって、発病するかどうかが変わりますので、アナフィラキシー症状の進行があることを観察する時間も必要になります。ただ、急激に進行するアナフィラキシーの場合には、エピペンを使用するタイミングがありません。
結局、エピペンを使うタイミングとしては、アレルギーを発症することが明らかな場合ということになります。
ただ、人によって、持っているアレルギーは違いますので、事前に病院で調べておいて、どんなアレルギーがあるのかを自分で把握しておく必要があります。
- ハチに刺されたとき
- アレルギーの原因となる食べ物を食べたとき
- アレルギーの原因となる物質に触れたとき
- アレルギーの原因となる物質を吸い込んだとき
エピペンは、有効な薬剤であることには違いないのですが、エピペンを使えない状況もあり得ますので、エピペンを過信せず、アナフィラキシーが起こることを未然に防ぐことが一番大切になってきます。
要するに、自分が持っているアレルギーを把握しておき、それを体内に入れないことや、触れないことに細心の注意を払うことが重要ということです。
最後に
いかかでしたでしょうか。アナフィラキシーは死に至ることもありますので、かなり慎重にならなければいけません。アナフィラキシーを起こして重症になった場合、脳や臓器に血液が行かなくなる状態が20~30分続きます。
そして、脳への酸素供給が5分ぐらい途絶えてしまうと、回復は見込めなくなってしまいます。
アナフィラキシーになってしまい、呼吸をしていない場合や、脈が触れず意識がなくなっている場合は、人工呼吸と心臓マッサージしかありません。あと、心臓停止や重篤な不整脈の場合は、AEDを使用する必要があります。
でも、他の病気と違って、その数十分を乗り切ることが出来れば回復する可能性もありますので、救急蘇生が上手く出来るかどうかが、その後の経過を左右します。
今回、私はアナフィラキシーのことを調べて、アナフィラキシーの対処法だけでなく、AEDについても、実際に体験させてもらう必要性を強く感じました。
今後は、何かあっても慌てることなく、最低限の対処は出来るようになっておきたいと思います。