動物の嗅覚は、人間より優れているのは当たり前のように、ほとんどの人が知っているかと…。ただ、身近にいる犬は、人間と比べて、どれぐらい凄い嗅覚を持っているのか疑問に思う人は多いのではないでしょうか。
私も犬を飼っていますので、犬の嗅覚のことを色々と調べてみました。
それを調べていると、動物の中で、一番優れた嗅覚を持った動物のことなども分かりましたので、それらをまとめてご紹介しています。
犬と人間の嗅覚の比較
ネットなどで、犬と人間の嗅覚の違いを調べると、犬の嗅覚は人間の100万倍と書かれていたり、100万倍~1億倍などと書かれていたりもします。
100万倍~1億倍というのは、差が大きすぎると思いませんか?
そのような幅があるのには、ちゃんとした理由があるのです。それは、匂いの種類によって、感知しやすさに違いがあるからです。
日本警察犬協会は、犬と人間の嗅覚を比較した場合、下記のような違いがあると紹介しています。
■ 人と比較した場合の犬の嗅覚能力
①腐敗バター臭:80万倍
②ニンニク臭:2.000倍
③スミレの花臭:3,000倍
④吉草根(きっそうこん)の香気:170万倍
⑤酸臭:1億倍
このように、匂いによってかなりの違いがあります。だから、「犬の嗅覚は人間の何倍?」と聞かれても、ひと言で何倍とは言えないのです。という訳で、犬の嗅覚は、人間の100万倍~1億倍と表現されることが多いのでしょうね。
ちなみに、警察犬が犯人を追跡することが出来るのは、汗に含まれている揮発性の脂肪酸を感知することが出来るからだそうです。
揮発性ですから、時間が経てば薄れてくるでしょうし、雨が降れば匂いが流れてしまって追跡できないでしょうから、警察犬の追跡は時間との勝負なのでしょうね。
ところで、私はトイプードルを飼っているのですが、ちょっと目を離すと、ゴミ箱を倒して、ゴミを散らかすことがあります。でも、ゴミ箱に何も入っていなければ、ゴミ箱の中を散らかすようなことはしません。
だから、犬は、ゴミ箱の中にある食べ物の匂いを感知しているということです。
でも、ゴミ箱の中には、色んなモノが入っていますから、それらの匂いが混ざっているはずです。私がゴミ箱に顔を近づけて匂いをかいでも、色んな匂いが混じっているので、食べ物があるかどうかは分からないと思います。でも、犬は、ちゃんと食べ物があると分かっているようです。
ということは、単純に匂いを感知しているというよりは、匂いをしっかり匂いを嗅ぎ分けて、食べ物があるということを感じ取っているということですよね。
という訳で、匂いを単に感じるということと、匂いを嗅ぎ分けるということは別モノだと言えるかと…。そこで、匂いの嗅ぎ分けについて調べてみました。
匂いの嗅ぎ分け能力
東京大学の東原和成教授は、匂いに関する研究をされているのですが、その研究のひとつに、動物の嗅覚に関する研究があって、100種類以上の動物を対象にした研究をされています。
少し話しが反れてしまいますけど、動物が匂いを嗅ぎ分けられるのは、鼻の奥にある嗅覚受容体というセンサーが組み合わされて、それが作用しているからだそうです。
人間の場合、その嗅覚受容体は400個ぐらいあって、1万以上の匂いを識別できるそうです。東原和成教授が動物の匂いについて研究するまでは、その嗅覚受容体を一番多く持っているのはラットで、1200個の嗅覚受容体を持っていると報告されていました。
しかし、東原和成教授の研究した結果、牛はラットと同じく1200個の嗅覚受容体を持っていることが分かったそうです。しかも、牛やラット以上に嗅覚受容体を持っている動物も発見したそうです。
それは、アフリカ象で、2000個もの嗅覚受容体を持っているのです。
その数は、これまでに報告されているどの動物よりも多い数だそうです。なお、野生のアフリカ象は、マサイ族とカンバ族を数キロも離れた場所から匂いだけで判別することが出来るらしいです。なぜ、野生のアフリカ象は、マサイ族とカンバ族を見分ける能力があるのか想像できますか?
それは、マサイ族は「ゾウ狩り」をするからです。
カンバ族は農耕民族なので、ゾウ狩りはしません。だから、ゾウ狩りをするマサイ族を、遠方から察知する必要があるという訳です。ただ、動物の中で、ゾウが一番の嗅覚を持つようになった理由は、よく分からないそうです。
それにしても、民族の違いを匂いだけで見分けるなんて、凄い能力ですよね。
ちなみに、犬は800種類の嗅覚受容体を持っているらしいです。人間の約2倍ですから、犬も匂いの嗅ぎ分け能力は相当なものだといえますね。
いずれにしましても、地球上で生きていく上で、嗅覚というものは必要不可欠なものであることは間違いないですね。でも、どうして人間は、他の動物より嗅覚が劣っているのでしょう?
次の項目では、その辺りのことを簡単に説明させて頂いています。
動物の嗅覚の発達と衰え
地球が誕生して、まず海に生物が生息するようになりました。そして、その生物が陸に上がって生きていくようになった訳ですけど、両生類が陸に現れてからは、進化の過程で、動物の嗅覚受容体は増加したそうです。
陸で生活するようになった動物は、様々な種類の動物へと枝分かれして進化してきたのですが、霊長類になると嗅覚受容体は減ってしまったらしいのです。
その理由は、東原和成教授によると、二足歩行したり、木の上に上ったりすることで、遠くを見ることが出来るようになって視覚が発達したので、嗅覚が衰えだしたのではないかと仮説を立てているようです。
でも、私の素人考えでは、視覚が発達して遠くが見えるから嗅覚が衰えたのなら、人間よりも大きなゾウも、霊長類と同じように、視覚が発達して嗅覚が衰えてもおかしくないように思えるのですが…。
私のような素人にはよく分からないことですけど、霊長類は、他の動物と違って、あまり嗅覚に頼らない生き方を見付けたってことなのでしょうね。
最後に
犬は、ペットの中で一番多いらしいので、「犬の嗅覚は人間の何倍ぐらいあるんだろう」と思う人は多いでしょうね。
私も、犬を散歩させているとき、地面をクンクン匂いながら歩いている犬を見て、どんな匂いを感じているんだろうと、いつも思っていました。
でも、犬は、人間の約2倍も嗅覚受容体を持っているのですから、どんな匂いを感じているのかなんて、私が想像できるはずはないですよね。
いずれにしましても、人間は、頭脳では勝っていても、犬に負けている点はかなりあるでしょうね。
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