児童養護施設の入所理由の割合:私の息子の入所理由は少数派


私の息子は、中学生(2年)のとき、児童養護施設に入所しました。その児童養護施設には、幼児から高校生までがいたのですが、そこにいた幼児の入所理由は、大抵は親がいないことが原因のようでした。

しかし、私の息子は、私も妻も健在ですし、息子の兄弟も一緒に暮らしていました。それでも入所させなければいけない理由があったのですが、私の息子と同じような入所理由の子供は、どれぐらいいるんだろうと気になりました。

そこで、厚生労働省のデータを調べてみると、意外な結果がわかりましたので、その情報をご紹介します。

あと、私の息子が入所した理由、入所してどのような変化があったのか、他には、息子が退所した理由や、児童養護施設に入所する際の費用のことなど、色々とご紹介していますので、参考にして頂ければ幸いです。

児童養護施設の入所理由の割合

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私は、自分の息子を児童養護施設に入所させたので、すでに入所している子供たちは、どんな理由で入所しているのか気になっていました。

それで、厚生労働省の資料を調べてみると、5年ごとに社会的養護の現状が調査されていて、その中に、児童養護施設の入所理由や、その割合が記載されていました。

■児童養護施設の入所理由と割合(平成20年)

① 33.1%:放任・怠惰・虐待・酷使・棄児・養育拒否…10,447人
② 10.7%:(父・母の)精神疾患…3,377人
③ 10.5%:その他・不詳…3,305人
④ 9.7%:(父・母の)就労…3,055人
⑤ 7.6%:破産等の経済的理由…2,390人
⑥ 7.0%:(父・母・父母の)行方不明…2,197人
⑦ 5.8%:(父・母の)入院…1,833人
⑧ 5.1%:(父・母の)拘禁…1,611人
⑨ 4.1%:親の離婚…1,304人
⑩ 3.3%:児童問題による監護困難…1,047人
⑪ 2.5%:(父・母・父母の)死亡…775人
⑫ 0.8%:親の不和…252人

(社会的養護の現状について[厚生労働省]より抜粋)

上記の「児童養護施設の入所理由と割合」を見ると、ほとんどは親が原因になってますね。

私が息子を児童養護施設に入所させた理由は、息子の素行が原因でしたので、子供が児童養護施設に入所する理由は、子供の素行が入所理由の上位にくると思い込んでいたのですが、予想とは全く違っていました。

という訳で、私の息子のように、子供自身に原因があって入所する事例は少数のようですね。ちなみに、児童養護施設に入所している中学生と高校生の卒業後の進路状況は、下記のように報告されていました。

■ 中学校卒業後の進路(平成24年度末の卒業生)
・高校等:94.8%
・専修学校等:1.8%
・就職:2.1%
・その他:1.2%

■ 高等学校卒業後の進路(平成24年度末の卒業生)
・大学等:12.3%
・専修学校等:10.3%
・就職:69.8%
・その他:7.6%

(社会的養護の現状について[厚生労働省]より抜粋)

上記を見ると、児童養護施設に入所している中学生のほとんどは進学していますね。でも、私の息子は勉強するのが絶対に嫌だったようで、中学校を卒業したら就職すると決めていましたので、卒業後は就職しました。

次の項目では、私の息子の入所理由や、児童養護施設を退所した(させられた)理由などを紹介させて頂きます。子供の素行に手を焼いている親御さんには、参考にして頂ける内容ではないかと思いますので、どうぞご覧下さい。

息子の児童養護施設の入所理由

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私の息子が小学生や中学生だった頃、親を悩ませていたことは、下記のようなことです。

■小学生の頃
・全く勉強しない。
・親や兄弟のお金を盗む。

■中学生の頃
・全く勉強しない。
・親や兄弟のお金を盗む。
・iPodなど友達に売れるものを家から盗む。
・学校へ行くフリをして学校に行かない。
・学校に行っても、授業中に学校を抜け出す。
・深夜に帰ってくる。
・帰宅しない。
・喫煙
・万引き

私の息子は、小学生の頃から親や兄弟のお金をよく盗んでいました。何度も注意をしたり叱ったりしたのですが、全くやめる気配はありませんでした。それは、中学生になってからも変わりませんでした。

私や兄弟たちは、息子にお金を盗まれないように、いつも財布を隠していました。でも、小さな家ですから、毎日違う場所に隠しても、探し出せない訳ではないので、息子は隠しているお金を探し出しては盗んでいました。

あと、息子は、勉強をする気が全くなかったので、朝家を出ても学校には行かず、友達と遊ぶのが日常となっていました。ただ、お腹がすくので、給食を食べるために、4時間目ぐらいに学校へ行き、給食を食べたあとは学校から抜け出すというようなことを繰り返していました。

他には、深夜に帰ってきたり、何日も家に帰ってこない日もよくありました。あと、喫煙や万引きもよくやっていました。万引きは何度か捕まったので、そのたびに謝罪と返金に行くハメになっていたのですが…。

なお、息子は友達の家に泊まったりすることもあったのですが、その友達の親は迷惑がって、学校に連絡をし、自分の子供と遊ばせないで欲しいなどのクレームを入れるようなことも何度かありました。

そのようなことを繰り返し続けていましたので、私は中学校の先生だけでなく、家庭こどもセンターなどにも相談をしていました。しかし、誰に相談しても的確なアドバイスをもらえることはなく、結局現状を報告するだけで終わっていました。

ただ、それでも息子が帰ってきたときは、必ず話し合いをして、明日からは真面目にすると約束を取り付けるのですが、翌日はいつも通り、お金を盗んだり学校に行かなかったりという感じで、どれだけ注意をしても、どんなにキツく叱っても効き目はありませんでした。

学校に行かないだけなら、息子を児童養護施設に入所させることはなかったと思います。

しかし、親や兄弟のお金を盗み続けたり、友達の家に泊まって迷惑をかけたり、万引きを繰り返すということをやめる気配がなかったので、息子が中学2年の夏休み頃から、児童養護施設へ入所させることを考え始めました。

そして、息子が中学2年生だった年の12月のことですが、家庭子どもセンターの人と相談し、息子を児童養護施設に入所させることにしました。

私は、それまで児童養護施設のことは全く知らなかったのですが、私の息子と同じような感じの子供が多いところだと思っていましたので、児童養護施設に入所させれば、そこの先生の指導で、息子は良い方向へ向かってくれるものだと思っていました。

しかし、息子が入所した児童養護施設は、私が想像しているようなところではありませんでした。そのため、息子は私が望むようにはなってくれませんでした。

次の項目では、息子の児童養護施設での生活などを紹介させて頂きます。

児童養護施設に入所してからの変化


児童養護施設にも色々あるようで、暴力事件を起こしたり、ケンカばかりして手に負えないような子供ばかりを入所させているところもあるようです。でも、ほとんどの児童養護施設は、そこまで悪い子供は入所させていないところが多いようです。

私の息子は、暴力事件を起こすことはなかったので、家庭子どもセンターの判断で、一般的な児童養護施設に入所することになりました。ちなみに、息子が入所した児童養護施設は、自宅から車で30分ぐらいの場所にありましたので、児童養護施設の近くにある中学校に転校となりました。

息子は、入所した当初は、施設でも真面目に生活をし、中学校へも真面目に通っていたようです。

しかし、2~3ヶ月もすると、朝になっても起きてこないので、施設の先生が起こしても布団から出ようとせず、学校に行かない日が増えてきました。それでも、自宅にいたときよりは、真面目に学校へは行っていたようですが…。

ただ、施設の先生は、2~3度起こしても起きてこなければ、そのまま放っておくようで、結局、息子はやりたい放題だったようです。

自宅であれば、私や妻がうるさく言うので、嫌でも起きないといけなかったのですが、児童養護施設では、そこまでうるさく言われることはないので、息子にすれば、うるさい人がいないので、気楽に生活していたのではないかと思います。

そのうち、施設を脱走したりもするようになりました。ただ、脱走しても、お金もないまま、いつまでもうろついていられないので、数日で施設に戻ってはくるのですが…。

ただ、それだけなら、まだマシなのですが、施設の先生のお金を盗んだりもしていました。施設には、息子以外にそのようなことをする子供はいなかったので、施設の先生たちも困っているようでした。

結局、施設ではうるさく言う人がいないので、息子はかなり自由を満喫していたようです。そんな生活を送っていれば、更生するはずはないので、息子は良い方向へ変わることはありませんでした。

ちなみに、児童養護施設は、子供が中学校を卒業して高校に進学した場合は、そのまま施設で生活することが出来るのですが、進学をせず就職した場合は、施設を出る決まりになっています。

ただ、息子の場合、脱走を繰り返したり、先生のお金を盗んだりしていましたので、仮りに高校へ進学したとしても、面倒を見きれないということで、中学校を卒業したら退所させると言われていました。

息子は、児童養護施設を退所したあと、自宅に戻ると、また親にうるさく言われるのがイヤだったようで、何度も転職をしましたが、全て住み込み可の会社ばかりを選んでいました。

いずれにしましても、児童養護施設で気楽な生活を送っていましたので、中学校を卒業したあと就職しましたが、1~2ヶ月で辞めては、再就職するということを繰り返していました。ちなみに、就職しても真面目に出勤していた訳ではなく、休むことも多かったようです。

退職するのはいいのですが、息子は会社を休むことが多かったので、会社が借りてくれていたアパートの家賃や光熱費など、息子の給料で足りない分は、私が肩代わりしなければいけませんでした。結局、息子が退職するたびに、私の出費が増えてしまうという訳です。

しかも、息子が退職するときは、退職届けなどは出さず、いつも突然いなくなるので、会社から私に連絡が入り、息子さんをクビにしますが、家賃などを支払って下さいと言われるので、それで息子が会社を辞めたことが分かるという感じでした。

そんな感じのことを繰り返していたのですが、ときどき息子から連絡はありましたので、家に帰ってこなくても生きていることは分かっていました。ただ、何度目かの退職をしたあと、自宅への連絡が全くなくなりました。

警察に捜索願いを出したり、働いていた会社の人達に、息子が行きそうな場所を聞いたりして探したのですが、結局見付けることはできず、現在も行方不明のままとなってしまいました。

さんざん迷惑をかけられてきた息子ですけど、息子であることには変わりないですから、生きているのかさえ分からない状態ですから、現在も心配でなりません。何をしていてもいいので、生きてさえいてくれたら、それで充分なのですが、それさえ分からないというのは辛いものですね。

児童養護施設へ入所する際の費用

児童養護施設に子供を入所させる際、入所費用が必要になります。ただ、それは親の収入によって違っていて、それは「福祉施設入所者費用徴収条例」によって、下記のように定められています。

■ 児童養護施設の入所費用

最後に

児童養護施設に入所する理由は様々だとは思っていましたけど、親が原因であることが多いというのは、私には意外でした。私の息子のように、手に負えない子供を入所させるところだというイメージだったので…。

いずにれしましても、親がいないなどの理由で入所している子供は、素直に育つと思います。

しかし、私の息子のように、楽することしか考えておらず、好き勝手なことばかりする子供の場合、児童養護施設に入所させれば、更生させてもらえると期待するのは、どうかと思います。

これは、児童養護施設を非難している訳ではありません。

児童養護施設の方々は、子供たちが良い方向に向かって育ってくれるように、色々と努力はされています。ただ、一般的な児童養護施設は、親が手に負えない子供を更生させるための施設ではないということです。

私のイメージでは、一時預かり所という感じですね。

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